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【特集】スリープロG Research Memo(3):IT分野の各種サービスを“オンデマンド&シェアリング”で提供

スリープロ <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業概要

1. ビジネスモデル
スリープログループ<2375>の経営ビジョン及びビジネスモデルを一言で表現すると、「夢を目指す人材を支援し、ITを中心としたオンデマンドサービス、シェアリングエコノミー事業を提供する」となる。

まず、「夢を目指す人材」とは、具体的には全国125,000人のエージェント(登録スタッフ)である。フィールドサポートはもちろん、コンタクトセンター人員もシステム開発人員も販売支援人員もすべて、この人材のプールが有効活用される。ITスキルの高い個人事業主(フリーランス)が多く、常時雇用ではないため、同社の固定費負担は極力抑えられる。登録スタッフにとっては、スリープロが営業して大手企業から仕事を取ってきてくれ、スキルのアップデートも図れるというメリットがある。同社では、2020年までにエージェント数を500,000人に増やしたい考えだ。

次に「ITを中心としたオンデマンドサービス」とは、IT分野での「買う」「始める」「使う」シーンの面倒な現場業務を、必要な時に・必要な人数を・必要なエリアで受託する、同社のBPOサービスの特長を示す。PCやブロードバンドの初期設定から、全国規模の短期集中販売支援やリコール対応等、様々な機器・業務に対応できる数少ないプレーヤーである。

最後の「シェアリングエコノミー事業を提供」は、エージェントの人的資源の共有を意味するとともに、2015年から参入したコワーキングスペース事業が行う場所(オフィス)の共有を意味する。今後この事業が発展すると、起業支援サービスや教育サービスを必要な時に利用(共有)するという事業機会も生まれる。

ちなみに、コワーキングスペース事業は、2017年10月期第2四半期からセグメント別の業績が開示されており、売上高741百万円(前年同期比37.2%増)、セグメント利益42百万円(前年同期比158.2%増)となっており、M&Aでの成長を除くと同社で一番成長率が高い。成長のドライバーは入居者数の増加であり、2017年10月期第2四半期末時点で2,674社(前年同期比604社増)と伸長した。東京都、神奈川県、大阪府、愛知県に47箇所展開する。

2. M&A、資本業務提携の積極化
同社は、2015年から4社をM&Aによりグループ化し、年間売上高で30億円以上をM&Aで追加した。WELLCOM ISとJBMクリエイトはコンタクトセンター事業の規模拡大・エリア拡大が狙いだった。アセットデザインに関しては、“シェアリングエコノミー”事業への進出という狙いがあった。2016年9月のヒューマンウェアにおいては、慢性的なエンジニア不足の課題解決と近畿エリアへの進出という狙いだ。

また、2016年9月のインターポレーションとの資本業務提携、2017年5月の(株)ダナルジャパンとの資本業務提携は、いずれも新分野進出の際に優秀な技術を持った企業との提携したものである。

同社は多数のM&A及び資本業務提携の経験を通して、契約後の組織統合・連携を含めてノウハウを蓄積している。今後もBPO事業関連などの既存事業の底上げ及び新たなマーケットへの参入に際してM&A及び資本業務提携を積極的に行う方針である。

3. 女性を大切にするダイバーシティ経営
同社は社会的責任への取り組みを積極的に行う企業として評価が高い。取り組みの主眼としては、
(1) 全社員及び家族の健康維持向上
(2) 女性社員が適正に就業できる環境の構築
(3) 仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)
(4) 男性の育児や家事、地域活動への参画支援
の4点である。

数ある具体例の中でも特筆すべきは、2017年3月の「なでしこ銘柄」への選出である。この表彰制度は、経済産業省と東京証券取引所の共同企画であり、女性活躍推進に優れた上場会社を選出するものである。選出企業47社中、東証1部から45社、同社の属する東証2部から2社のみ、同社の属するサービス業から3社のみと狭き門を突破しての選出となった。同社としては「柔軟な勤務環境の整備、多様な人材支援制度から夢を目指す女性の活躍を推進」をポイントに掲げており、女性社員の働きやすくするための様々な工夫や仕組みが評価された形だ。ちなみに、同社の女性従業員比率は20.2%、女性管理職比率は14.8%、女性取締役比率は16.7%である。

この他にも、1)健康経営優良法人2017認定(ホワイト500:2017年2月)、2)大阪市女性活躍リーディングカンパニー認証(2017年5月)、3)優良派遣事業者、4)えるぼしマーク取得企業(3段階目、女性活躍推進法に基づき厚生労働省が認定)など、特に女性を大切にする企業としてダイバーシティに取り組み、成果を上げている。

このような取り組みは、人材力が生命線の業界において、競争力ある人材の採用及び生産性向上、定着率向上などに好影響を与えることが期待され、同社の大きな強みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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