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【特集】澁澤倉庫 Research Memo(1):従来型の倉庫業から流通加工サービスの提供など付加価値の高い倉庫業へ転換


■要約

「物流が、産業・経済発展のための大きな鍵となる」という創業者澁澤榮一(しぶさわえいいち)の予見は現実となった。澁澤倉庫<9304>は、こうした経済の未来を見通す眼で物流を考える、澁澤榮一の精神を大切に育んできたということができる。それが如実に表れたのがリーマンショック後。輸出が停滞するなか、陸上運送に強い倉庫業としての強みを発揮、日用品や飲料など消費財にターゲットを絞って高付加価値の流通加工などへの取組みを開始した。倉庫への積極的投資、3大都市圏でのドミナント戦略、共同配送、集車力などを背景に、現在、取引先・取扱量を拡大中である。

2017年3月期は国内拠点の増加や倉庫稼働率の向上により、営業利益は3,406百万円(22.9%増)と大幅増益となった。2018年3月期はシステム投資負担があって減益見込みだが、日用品にけん引されて増収率は若干ながら改善する計画になっている。

2017年3月期を最終年度とする前中期経営計画「Step Up 2016」が終了した。外部環境良好のなか、横浜の新倉庫のフル稼働遅れなどにより営業利益で100百万円の未達となった。しかし、大型倉庫3棟建設による消費財の取扱い拡大など目標に向かっての進捗は一定の評価を与えられる。

新中期経営計画「Step Up 2019」が発表された。2020年3月期営業収益67,000百万円、営業利益4,000百万円を目指す。基本的な考え方は前中期経営計画と同様で消費財中心だが、収益力が向上した自信からか、領域拡大と高付加価値化を両立する事業戦略や10,000百万円の投資余力を残した投資計画は積極果敢の印象を与える。

■Key Points
・付加価値の高い倉庫業へ転換、消費財物流で収益改善
・2017年3月期は営業大幅増益。2018年3月期はシステム投資で減益も、消費財は順調に拡大へ
・前中期経営計画はやや未達も一定の評価。新中期経営計画は積極果敢の印象だが、十分射程圏内

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《HN》

 提供:フィスコ

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