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【特集】<話題の焦点>=鳥獣被害深刻化、GPSやIoT活用で対策に本腰

古野電 <日足> 「株探」多機能チャートより
 天候異変も影響しているのか、最近は季節を問わず、シカ、イノシシ、サル、クマ、アライグマ、カラスなどによる農作物への被害が頻繁に伝えられている。野生動物の生息地近隣まで宅地開発が迫っていることや、異常気象により野生動物のエサ不足、耕作放棄地の増加が深刻化していることが背景とされている。

 農林水産省の集計によると、届出のあったものだけで全国の野生鳥獣による2015年度の農作物被害額は年間176億円で、届出のないものを含めると少なくとも実際は300億円を超えるとの見方もあるほどだ。07年には「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」が成立し、市町村が中心となって、被害防止のための総合的な取り組みが行われている。具体的には、侵入防止柵の設置、捕獲鳥獣を食肉利用するための処理加工施設などを支援している。

 個別銘柄では、魚群探知機で知られる古野電気<6814>に注目したい。同社は、狩猟用発信器(GPSマーカー)として、位置・音声一体型端末「Dog Navi」(ドッグ・ナビ)を開発し販売している。この製品は、猟犬に装着する「猟犬端末」と、野生鳥獣を探索する狩猟者が猟犬の位置情報を把握するために使用する「狩猟者端末」によって構成され、国内電波法に適合したGPSマーカーとして初めて、猟犬の位置情報をGPS測位するとともに、「猟犬端末」の内蔵マイクを通じた音声情報を同時に確認できるようにしているのが特長。

 もともと防獣ネットを手掛けていた前田工繊<7821>は、東日本を中心に鳥獣害対策分野で売り上げを伸ばしている未来のアグリ(旧北原電牧)を11年に子会社化しており、大規模な電気柵、各種フェンスの施工に実績がある。このほか、漁網大手の日東製網<3524>は、漁網の技術を応用し、作業効率を軽量化した獣害防止ネットを開発。日亜鋼業<5658>は、サル、シカ、イノシシなど動物別の獣害用防護柵を手掛けている。

 さらに、タキロンシーアイ<4215>の子会社タキロンプロテックでは、折たたみ式獣害対策用フェンスの「パタサク」や、小動物侵入防止対策用「ロードガードネット」を販売している。また、電算システム<3630>は、IoTを活用した新サービスの一環として「スマート害獣捕獲センサー」を開発。害獣捕獲わなの捕獲情報をメールなどで通知し、遠隔地で確認することで現地での見回りコストを削減することが可能となるという。

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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