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【特集】イグニス Research Memo(5):新規事業の立ち上げにより事業ポートフォリオの拡充を図る

イグニス <日足> 「株探」多機能チャートより

 

■今後の方向性

1. 中期経営計画
イグニス<3689>は、今期より2020 年9 月期を最終年度とする中期経営計画をスタートした。ミッションである「次のあたりまえを創る。何度でも」に基づき、「創造力と技術力が高い次元で融合した組織」を目指すことを基本方針としている。既存3 事業である「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」について、それぞれの維持・強化を図る一方、新たに「ライフハック」「VR」「その他(現時点で詳細は未定)」の3 事業を順次立ち上げ、2020 年にはすべて収益事業化することを目指している。また、事業ポートフォリオの充実を図ることにより、キャッシュフローのエコシステムを創り出すとともに、様々な環境変化にも対応できる事業構造へと進化を図る。

最終年度である2020 年9 月期の目標として、売上高150 億円、営業利益60 億円(営業利益率40%)を掲げている。2016 年9 月期実績を基準にすると、5 年間の売上高成長率は年率28.0%、営業利益成長率は同42.0% と高い水準になっている。また、2020 年9 月期の営業利益のうち30% は新規事業で積み上げる想定となっている。

2. 2018年9月期業績の考え方
来期(2018年9月期)の業績については、「ぼくとドラゴン」及び「with」のほか、足元で順調に立ち上がってきた「U-NOTE. CAREER」、リリース準備中である「GK(コードネーム)」の4つの収益ドライバーに対する見方が重要になると捉えている。特に、「ぼくとドラゴン」による収益貢献をどこまで維持できるか、「with」の成長ペースをどこまで加速できるかに加えて、「U-NOTE.CAREER」による本格的な収益貢献への道筋、「GK(コードネーム)」のリリースのタイミングとヒット度合いなどが最大の注目点になるだろう。

弊社では、「ぼくとドラゴン」については、ある程度縮小傾向へ向かう可能性を織り込む必要があると考えている。また、「U-NOTE.CAREER」についても、一般情勢として広告モデルのハードル(収益化の難易度)が高くなっている中で、どこまで広告ヘのコミットメントを高められるかにかかっており、しばらくは運営の状況等を見守る必要があると考えている。したがって、来期の業績の伸びを大きくけん引する可能性があるのは、「with」と「GK(コードネーム)」になるとみている。「with」については、この下期における広告宣伝費のかけ方とそれに伴う認知度の拡大(会員数の伸び)が来期業績に大きく影響するため、その進捗に注目すべきであろう。また、「GK(コードネーム)」については、リリースのタイミングとヒット度合いの2つの要因をそれぞれフォローする必要がある。仮に、今期中のリリース、あるいは来期の早い段階でリリースされ、「ぼくとドラゴン」と同様、順調に立ち上げることができれば、大幅な業績拡大につながる可能性がある。ベストシナリオとしては、「with」と「GK(コードネーム)」が同時に拡大することである。逆に、「GK(コードネーム)」のリリースが遅れる、あるいはリリースしてもヒットできなかった場合には、業績貢献は限定的となるため、そこは慎重にみておく必要があろう。ワーストシナリオは、「with」と「GK(コードネーム)」の両方が不振となった場合、業績が一旦後退することである。もっとも、弊社では、「with」については、ある程度軌道に乗ってきていることと、このマーケットの拡大が期待できることから、たとえ「GK(コードネーム)」による業績貢献が限定的であったとしても、今期の予想水準を上回る増収率を確保することは可能であるとみている。一方、期待の大きいVRについては、長期的な視点での収益事業化を進めており、2019年9月期以降の収益ドライバーとして捉える必要があろう。見方を変えれば、2020年9月期の目標達成(新規事業で営業利益の30%を占める)のためには、2019年9月期には何らかの実績を示す必要があるだろう。

また、利益面では、コスト要因として、今期の利益を圧迫している「with」の広告宣伝費、「GK(コードネーム)」の研究開発費、VR事業向けの研究開発費のほか、「GK(コードネーム)」リリース後の広告宣伝費の4つを押さえておく必要がある。弊社では、2本目の柱となってきた「with」の強化や今後の成長加速に向けて、「with」の広告宣伝費及びVR事業向けの研究開発費は継続するものとみている。一方、「GK(コードネーム)」の研究開発費はリリースにより解消されるものの、リリース後は広告宣伝費に振り替わることが想定される。したがって、来期においても先行費用は高い水準で推移するものと考えられる。あとは売上高の伸びでどの程度回収できるかにかかっている。弊社では、増収により増益を確保することは可能であるものの、今後の成長を優先することにより、利益率の大幅な改善には至らないものと想定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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