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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆7月の景色を模索◆

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

〇6月末上げ賛成も、急変に備え〇

海外機関投資家の上半期決算となる6月末に向かって、「上げ賛成」の地合いが続いているが、月末が近づくにつれ、7月以降のシナリオが気になる。下期入りでいきなり「売り」から入るのか、7-9月期もラリーを続けられるのか、7-9月期を高値圏揉み合いと想定した場合10-12月期に一段高を見込めるのか、といったイメージを探る時間帯に入る。ちなみに、日経平均は昨年比+25%、半年前比+4%、NYダウは昨年比+20%、半年前比+7.6%の水準、ドル円は昨年比+6%、半年前比-5%にある。昨年は最後の一週間、ブレグジットで急落したので、突発的な要素にも警戒心が漂う。

20日のWTI原油相場は7月限で97セント安の43.23ドル/バレル。昨年9月中旬以来の安値で、今年高値2月23日の54.45ドル/バレルから21%下落、海外で言う「弱気相場」入りした。この日は7月限最終日で限月交代の8月限は43.51ドル/バレル。 需給要因もあるだろうが、原油在庫の過剰感が解消 されていないだけに、圧迫感が続く可能性がある。CRB商品先物指数は0.95%安の169.65、6月上旬に1300ドル/トロイオンスを窺った金先物相場は1245ドル前後に沈んでいる。素材・資源安が続くと、当然、インフレ観の足を引っ張り、米国の利上げシナリオにも影響する。

なお、米国の景況感に影響するトランプ減税は夏休み前の攻防から9月以降、年末までの成立に先送りされている。目先は、20日決選投票が行われたジョージア州第6選挙区下院補欠選挙結果に注目したい。元々、共和党地盤だが、下院選過去最高の選挙資金(約55億円)が注ぎ込まれた激戦とされる。来秋の中間選挙に向けた一つの試金石と見られている。

トランプ大統領は、北朝鮮問題での中国の対応を「これまでのところ失敗に終わっている」とつぶやいた。北朝鮮から帰国した学生が死亡したこともあり、対北緊迫感が一気に戻る可能性がある。29-30日に米国で初の米韓首脳会談が予定されている。トランプ大統領はTHAAD配備遅延に激怒していたと伝えられ、文在寅韓国大統領が立ち往生するリスクがある。

7月1日の香港返還20周年を中心に中国情勢も懸念視されるが、MSCIが新興国株指数に本土上場のA株指数を組み入れると発表したことで当面の混乱は抑制的になるとの見方。米中関係ではやはり北朝鮮問題が焦点となろう。政治攻防のヤマ場は少し先の北戴河会議に関心が移ろう。

7月2日の都議選結果が国内政局に影響する。予断を持たずに注視したい。これは余談だが、反安倍政権スタンスや誤報も含めて、メディアが批判されることが多いが、民放各局のニュースワイドショーを、一つの制作会社(泉放送制作)が16番組も作っていることが明らかになった(おそらく経費削減が背景)。豊洲問題で3つのTV局で、同じ人物がインタビューに答えていると話題になったが、そのカラクリを示す。米国ほどではないがメディア批判の動向も注目材料。

以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/6/21号)

《CS》

 提供:フィスコ

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