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【通貨】欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩み、保護主義後退でトランプ政権に陰り

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想したい。米1-3月期国内総生産(GDP)改定値の上方修正が好感され、6月利上げ期待は継続の見通し。ただ、前週末の7カ国首脳会合(G7)では米国が主張してきた保護主義が封じ込められ、トランプ政権の発言力低下と受け止められる可能性もあろう。

今晩は英国がスプリング・バンクホリデー、米国はメモリアルデーと欧米の主要市場が休場のため薄商いが見込まれるなか、連邦準備制度理事会(FRB)による6月利上げを期待したドル買いが先行しそうだ。26日に発表された1-3月期米GDP改定値は前期比年率+1.2%と、予想+0.9%と速報値+0.7%をともに上回った。CMEグループが算出するFedウォッチでも、6月13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での引き締め決定確率は80%を超えている。このため、週明けアジア市場でドル・円は値を戻す展開となっている。

ただ、ドル・円の目先の上昇は限定的となりそうだ。前週末にイタリアで開かれていたG7サミットでは、首脳宣言で「保護主義と闘う」との文言が明記された。今年3月17-18日にドイツで行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での共同声明には、昨年盛り込まれた「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との文言が米国の強い主張で削除された。今回のG7では、「貿易は必ずしも全員の利益をもたらしてこなかった」との米国に配慮した文言は加えられたものの、トランプ政権の保護主義的な動きに各国首脳がブレーキをかけた格好だ。

トランプ大統領の保護主義的な主張は選挙公約であり、雇用創出などを目指す経済政策の柱だったはずだ。その根幹部分との対決姿勢を示したG7サミットの声明は、米国の発言力の低下を反映したとの見方もできる。市場は反保護主義的な動きを歓迎する半面、「ロシア疑惑」での信頼の失墜を外交で挽回できなかったトランプ大統領の政権運営の弱体化を問題視する可能性もあろう。引き続き米政治情勢の不透明感が意識され、ドルの上昇を抑えそうだ。

【今日の欧米市場の予定】

・17:00 ユーロ圏・4月マネーサプライM3(前年比予想:+5.2%、4月:+5.3%)
・22:00 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会の経済金融委員会に出席
・市場休場:英国(スプリング・バンクホリデー)、米国(メモリアルデー)

《CS》

 提供:フィスコ

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