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【市況】高岡隆一の【今日のポイントとヒント】 「大きなトレンドは変わらず」

高岡隆一 (株式評論家)

前回(4月5日)、出張先の香港との対比で日本株の上がりにくい状況は継続する――このような内容を書いたが、今回も見方は大きく変わらない。目先相場にはフランス大統領選挙の結果が大きく影響するが、日本株のトレンドを左右する要因ではないと思う。

◆そもそも日本株の調子が良かったのは昨年末まで。トランプ氏の政策(減税+公共事業)により米国の成長率が高まり、米国金利は上昇=ドル高・円安に。これにより日本株にもメリット。こうした図式で日経平均株価は堅調だった。

◆だが、新大統領の政策実現は遅れるとの観測が強まり、ドル高が是正され始めた。つまり、米国金利のベクトルが上昇から低下へと変化したのである。これにより売られていた新興国の通貨や株が買い戻され、買われていた日本株が売られる(+円高)、これがいまの調整理由である。これにIMFが発表した経済成長率において、新興国の持ち直しに加え、米国や欧州も堅調な一方、日本の低成長が確認され、これも日本株から他の地域への乗り換えのキッカケとなっているのだろう。

◆人口減少が進み、経済の規模が大きくならない。にもかかわらず、国の借金だけが増えるという厳しい現状に対し、必要な人口増加政策が打たれない。島国根性丸出しの保守的議論に終始して、無駄に時間だけを浪費している日本からお金が逃げ出し始めた。こういう解釈が判りやすいと思う。

◆このように考えると、世界の株が堅調であっても、これは日本株の下支えにはなっても上をガンガン買う材料にはならない。短期的には円高、長期的には構造問題を抱え、両面から買い難くなってきたのが日本株ということだろう。外国人投資家の買い越しと日本株の上昇局面はぴったり。その逆(円高=外国人売り)もぴったりなのだ。

◆トランプ政権が円安を容認するとは思えず、市場関係者が未だ円安を期待する理由がわからない。全体相場の上昇に期待するよりも個別重視と割り切ること、そして運用資産を減額して運用するなど、工夫が必要と考える。

2017年4月23日 記

情報提供:高岡隆一の株価天気予報

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