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【特集】シノケンG Research Memo(7):すべての事業セグメントが好調に推移

シノケンG <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

2. 事業セグメント別の動向

(1) アパート販売事業

シノケングループ<8909>のアパート販売事業の業績は、売上高が前期比74.2%増の41,395百万円、セグメント利益が同54.8%増の4,163百万円となった。販売(引渡)棟数は、期初の受注残が389棟と高水準だったことを受け、530棟(前期比210棟増)と拡大した。増加棟数は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で9割を占めている。なかでも注力中の東京が順調に伸びているほか、2014年12月にオフィスを開設した大阪についても、受注活動を続けてきた効果が2016年に入って顕在化してきたと見られる。1棟当たり販売単価は前期比5.2%上昇の7,810万円となったが、これは販売価格の高い東京の構成比が16%から24%に上昇したことが要因となっている。

セグメント利益率が前期比で1ポイント低下したが、これは1)今年1月から俳優の佐々木蔵之介氏を起用したテレビCMを積極投下したこと(テレビCM費用はすべて当該セグメントに配賦)、2)アパート用地の仕入れ拡大のための積極的な人員採用、3)土地代の高い東京エリアの比率が上昇したこと、などによる。

なお、受注棟数は前期比65.4%増の761棟、期末受注残は同59.3%増の620棟となった。半期ベースで見た受注棟数も上期の373棟から下期は388棟となり、需要は引き続き拡大していることがうかがえる。なお、受注から売上計上までは平均で6~8ヶ月のため、2017年の販売棟数については受注残の水準から判断して、2016年を上回ることが確定的となっている。

(2) マンション販売事業
マンション販売事業の業績は、売上高が前期比29.6%増の17,715百万円、セグメント利益が同57.3%増の5,088百万円となった。引渡し戸数が前期比22.3%増の651戸と好調に推移したことや、1戸当たり販売単価も前期比5.9%上昇したことが増収要因となった。

セグメント利益率は前期比0.6ポイント上昇したが、この要因としては、1)マイナス金利下における個人の旺盛な投資用マンション需要を背景に値引きを抑制できたこと、2)子会社の小川建設による施工内製化率を約7割と2015年12月期通期の約5割から高め、コスト抑制につながったこと、3)テレビCMの効果が当セグメントにも及んでいるが、費用は当該セグメントに配賦されていないこと、などが主因となっている。また、マンション販売事業に関しては、年間販売戸数を530~540戸程度と一定水準を保つ方針で、規模の拡大を追っていないため、人件費もさほど増やしていないことも利益率の上昇要因となっている。

なお、当期の受注戸数は前期比5.9%増の592戸、受注残は36.6%減の102戸となっており、2017年の引渡し戸数は530~540戸ペースに戻るものと予想される。

(3) ゼネコン事業
ゼネコン事業の業績は、売上高が前期比25.1%増の11,741百万円、セグメント利益が同34.6%増の1,440百万円となった。旺盛な建築需要を背景に、法人・個人・官公庁からの受注が増加したほか、受注採算も改善したことで利益率も前期比0.9ポイント上昇した。なお、外部売上高は前期比25.1%増の11,741百万円、グループ内売上高は同5.2%増の4,228百万円となり、グループ内売上比率は外部売上が増加したため前期の30.0%から26.5%に低下した。なお、期末受注残高は前期末比24.1%増の13,255百万円となっている。

(4) 不動産賃貸管理事業
不動産賃貸管理事業の業績は、売上高が前期比20.8%増の7,749百万円、セグメント利益が同40.4%増の941百万円となった。アパート、マンションの販売進捗に伴い、12月末の賃貸管理戸数が前期末比で20.6%増の22,021戸、マンション管理組合から受託するマンション管理戸数も同26.5%増の4,687戸と順調に積み上がったことが増収増益要因となった。


(5) 金融・保証関連事業
金融・保証関連事業の業績は、売上高が前期比27.2%増の685百万円、セグメント利益が同24.3%増の260百万円となった。アパート販売棟数の拡大に連動して、12月末の家賃滞納保証件数が前期末比21.7%増の17,124件と順調に積み上がったほか、少額短期保険で投入した新商品「賃貸経営サポート保険」※なども寄与した。

※賃貸経営リスクのひとつである入居者死亡による家賃損失や居室原状回復を補償する入居者の孤立死等に対応した保険商品

(6) 介護関連事業
介護関連事業の業績は、売上高が前期比100.2%増の1,042百万円、セグメント利益が同23.9%増の129百万円となった。2016年1月よりアップルケアを連結対象に加え、訪問介護サービスや居宅介護支援事業等の売上が上乗せ要因となった。売上高の伸びに対して、セグメント利益の伸びが低いが、これはアップルケアの子会社化に伴い、のれん償却費用が前期比で50百万円増加したことが一因となっている。のれん償却前利益ベースでは前期比47.6%増の235百万円となっている。

(7) その他
その他の事業は、売上高が前期比21.5%増の962百万円、セグメント利益が同52.1%増の211百万円となった。大半を占めるLPガス供給販売事業において、供給世帯数が前期末比31.7%増の20,498世帯と順調に積み上がったことが増収増益要因となった。アパート販売棟数の増加に加えて、新たに仙台での営業活動を開始したことが供給世帯数の高い伸びにつながった。また、利益率の上昇はLPガスの仕入価格低下が主因となっている。

なお、海外事業については、2016年3月にインドネシアに子会社を設立。現地で投資用アパート、マンション事業を開始すべく体制を整えつつある。現状、海外事業は中国(上海)やシンガポールにて不動産仲介事業を行っているが、規模は小さく連結業績に与える影響は軽微となっているが、インドネシアでは小川建設と協業してマンション開発等に今後積極的に取り組んでいく方針となっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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