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【特集】IBJ Research Memo(7):2017年12月期はM&A効果で売上高が大幅増に

IBJ <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通しと成長戦略

1. 2017年12月期の業績見通し
IBJ<6071>の2017年12月期の連結業績は、売上高が前期比75.7%増の9,259百万円、営業利益が同15.3%増の1,281百万円、経常利益が同15.3%増の1,276百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同18.8%増の862百万円となる見通し。既存事業の2ケタ成長が続くほか、前期に子会社化したWASや「かもめ」の業績がフルに寄与することで、売上高は大きく伸長する。このうち、「かもめ」については30億円強の増収要因となる見通しだ。利益面では、のれん償却がWASで16百万円、「かもめ」で43百万円となり、のれん償却後の営業利益では2社合計でも軽微にとどまる見通し。同社では2018年以降、これら2社についてもシナジー効果で収益力が向上してくるものと見ている。

また、同社は2017年2月14日付でソニー生命保険(株)と合弁会社を設立すると発表した。「婚活&ウェディング」と「保険」の親和性を生かし、同社婚活会員向けに従来の保険代理店とは異なる新しい課題解決型の保険提案をオンラインとオフラインを活用しながら行っていく方針となっている。設立時期は2017年3月で、営業開始は同年5月から、同社の出資比率は70%となっている。まだ、どの程度契約を取れるかは未知数のため、今期の業績計画には織り込んでいない。また、保険代理店ビジネスとなるため、ストック型のビジネスモデルであり、順調に事業が拡大すれば中長期的に安定収益源になることが期待される。

事業別の見通しは以下のとおり。

(1) コーポレート事業
コーポレート事業のうち、メディアの広告販売収入等を除いた「日本結婚相談所連盟」の売上高は前期比15%増の895百万円を見込んでいる。前期に引き続きプル型営業の取り組みを強化していくほか、会員を多く保有する企業に新規事業として提案活動を行っていくことで、新規加盟件数を前期の289件から365件に拡大する。

また、単価アップ施策も前期同様、イベント事業とのセット販売や法人向けのパッケージ販売を強化するほか、「IBJシステム」に新機能を追加し、システム利用料の段階的な価格改定を進めていく予定となっている。なお、同業他社が類似のシステムを構築し、サービスを開始する計画となっているが、同社は会員の質やカウンセラー同士の連携力などをアピールしていくほか、コアとなる大手加盟相談所のグリップを強化しており、現段階ではほとんど影響はないと見ている。

(2) コミュニティ事業
コミュニティ事業の売上高は前期比19%減の541百万円と唯一、減収を見込んでいる。会員獲得競争の激化により、今期は有料会員数が前期末比3千人減の1.5万人まで落ち込むことを想定している。ただ、同計画は現段階で考え得る最低線の数値であり、今後取り組む施策の効果が出れば上積み要因となってくる。

入会者獲得の施策としては、広告宣伝費を前期比で20?30百万円積み増し、まずは無料会員としての新規獲得を増やしていく。無料会員については前期末月の7千人から今期末月は1.9万人まで拡大し、その中から有料会員化を進めていく戦略となっている。また、1月にリリースした性格診断アプリからの送客効果も期待できる。婚活色を薄めた手軽な性格診断をフックに好相性会員を紹介し、各サービスへの送客を図っていく。

また、競合との差別化という点においては、同社グループで展開しているイベント事業との連携を図ることによって他社にはないサービスを実現していく。ネットに会員本人の写真を掲載する際に、AI技術を使って好印象を与える写真に補正する機能も実装していく予定だ(AI笑顔化プログラム)。

(3) イベント事業
イベント事業の売上高は前期比18%増の2,393百万円と2ケタ成長が続く見通し。イベント動員数は前期比26%増の約63万人を見込んでいる。前期に出店した店舗が年間でフル寄与することで、動員数を拡大していく。全店舗ベースの稼働率で見れば現状は50%弱程度となっており、余力は十分ある。稼働率に関しては70%を超えてくると機会ロスが発生すると言われている。なお、今期の出店計画は、直営は予定していない。ただ、人的リソースに余裕ができ、立地条件の良い物件が見つかれば出店あるいは増床していく可能性はある。一方、FC店舗については8店舗の出店を目標としている(うち、札幌、鹿児島、岐阜、金沢の4店舗を1月に出店済み)。

新規顧客の取り込み施策としては、会員基盤を持つ企業とのイベント共同開催により、婚活色を薄めて参加ハードルを下げることで獲得していく。また、リピート率の向上にも注力する。今期よりスタッフの担当業務をイベント企画と店舗運営とにそれぞれ分け、専門分野に集中することで企画の種類や本数の充実を図るほか、店舗での接客の質の向上を目指していく。

(4) ライフデザイン事業
ライフデザイン事業のうち、WASの売上高は年間でフル寄与するため前期比1.5億円増の3億円強を見込んでいる。営業利益は20-30百万円の水準となるが、のれん償却16百万円が掛かるため連結利益への貢献は軽微となる。一方、「かもめ」の事業は売上高で30億円強、営業利益で50?80百万円を見込んでいる。のれん償却が43百万円となるため、連結利益への貢献度はまだ軽微となる。

今期については各子会社で異なる企業文化や社員の意識・考え方などを統一化していくことに傾注する1年と位置付けており、実際にシナジー効果によって収益力が拡大していくのは2018年以降になると見ている。

(5) ラウンジ事業
ラウンジ事業の売上高は前期比13%増の1,700百万円となる見通し。店舗数は前期と同じ10店舗の体制で、カウンセラーの増員とサービス品質の向上に継続して取り組んでいく。会員数については、前期末比2%増の4,600人、成婚者数は12%増の1,200人を想定している。前期と同様、ハイクラスの男性会員の獲得に注力し、成婚率を高めていく戦略だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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