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【通貨】欧米為替見通し:ユーロ・ドルは買い継続か、ECB総裁の発言に注目

ユーロ円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、ユーロ・ドルは小じっかりの展開を予想したい。欧州中央銀行(ECB)への追加緩和期待の後退によるポジション調整のユーロ買い戻しが続く見通し。今週の連邦準備制度理事会(FRB)の利上げはすでに織り込み済みで、調整のドル売りが観測される。ユーロ高の影響で、ユーロ・円が上昇すれば、ドル・円は連れ高の可能性もあろう。

9日に行われたECB理事会後のドラギ総裁の記者会見では、極端な金融緩和の必要性は低下との見解が示されたことで、これまでのハト派色が薄められた格好となり、ポジション調整によるユーロの買い戻し基調が強まった。その後、一部のECB当局者が理事会で量的緩和(QE)終了前の利上げを主張したとの報道が材料視され、ユーロ買い基調が継続。今晩は22時半からドラギ総裁の発言する機会があり、テーパリング絡みの思惑が高まる可能性がある。

一方、ドルの調整余地も見込まれる。14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定がほぼ確実視されるなか、10日に発表された米国の2月雇用統計は、失業率が4.7%(予想4.7%)、非農業部門雇用者数は前月比+23.5万人(同+20.0万人)、平均時給は前月比+0.2%(同+0.3%)との内容だった。そのなかで賃金の伸びが予想をやや下振れたことが注目され、年3回の利上げペースがさらに加速するとの見方がやや弱まっている。

今晩23時発表予定の米国の2月労働市場情勢指数(LMCI)で雇用情勢の改善が示されれば、利上げ観測を一段と高めることになろう。ただ、米利上げはすでに織り込まれているほか、今週はトランプ政権による2018会計年度(17年10月-18年9月)の予算教書の議会提出など重要イベントが控えており、積極的なドル買いの動きは想定しにくい状況にある。(吉池 威)


【今日の欧米市場の予定】
・22:30 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁あいさつ(ECBと米MIT開催会合)
・23:00 米・2月労働市場情勢指数(予想:2.5、1月:1.3)

《SK》

 提供:フィスコ

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