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【特集】シンワアート Research Memo(3):デフレ経済からの脱却の遅れ等により国内美術品オークション市場は低調に推移

シンワアート <日足> 「株探」多機能チャートより

■業界環境

「月刊美術」によれば、2015年の日本の美術品オークションの市場規模(年間落札価格)は約148億円と推計される。シンワアートオークション<2437>が公開オークションを開始した1990年からの推移で見ると、2007年にピークとなる約218億円に到達した後、リーマンショックに伴う景気後退の影響により急激に縮小すると、その後も長期間にわたるデフレ経済の環境下で停滞が続いている。

一方、世界の美術品オークション市場に目を向けると、約250年の歴史を持つオークション会社のクリスティーズやサザビーズが活躍する欧米市場や、近年著しい伸びを見せる中国市場などを中心に約2~3兆円の市場規模が推定されており、経済活動全般における規模感から言っても、日本市場の立ち遅れは明らかである。また、同社が公表している「近代美術オークションインデックス」の推移を見ると、過去最低となった2012年2月の平均落札単価は、基準とする1990年9月の1/30以下に落ち込んでおり、特に、高価格帯の近代美術オークションは、デフレ経済の影響を大きく受けてきた。直近のインデックス(2016年11月)を見ても、依然として基準の3.5%程度の水準で足踏みしており、回復の余地は大きいが、その一方で、回復に向けた道筋もなかなか見えてこない状況と言える。

なお、国内の同業他社は同社以外に数社が存在するが、2,000万円以上の高額落札作品における市場シェアでは、同社が業界トップである。また、同社以外に上場会社は存在しない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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