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【特集】サカタインクス Research Memo(4):2016年12月期は円高影響を吸収して計画超の営業増益

サカタINX <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2016年12月期連結業績概要
2月14日発表したサカタインクス<4633>の2016年12月期の連結業績は、売上高が151,198百万円、営業利益が10,119百万円、経常利益が11,868百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が7,837百万円だった。

2016年8月10日の修正計画値(想定為替レートを1米ドル=108円00銭に見直し、売上高を900百万円減額して150,600百万円、営業利益を100百万円減額して9,700百万円、経常利益を200百万円増額して11,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を700百万円増額して8,000百万円)に対して、親会社株主に帰属する当期純利益は163百万円下回ったが、売上高は598百万円、営業利益は419百万円、経常利益は168百万円それぞれ上回って着地した。

売上総利益率は24.8%、販管費比率は18.1%だった。営業外収益では持分法投資利益1,669百万円を計上した。売上高営業利益率は6.7%、売上高経常利益率は7.8%、ROE(自己資本当期純利益率)は11.3%、自己資本比率は51.7%だった。

比較対象となる2015年12月期は決算期変更に伴い2015年4月?12月の9ヶ月決算だったため、前年同期間2015年1月?12月調整値(売上高155,580百万円、営業利益9,359百万円、経常利益11,025百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,203百万円)との比較で見ると、売上高は2.8%減少、営業利益は8.1%増加、経常利益は7.7%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は8.8%増加となる。

円高による海外連結子会社の為替換算影響で減収だったが、印刷インキ販売数量増加やコスト削減などの効果で円高影響を吸収して計画超の営業増益だった。為替の平均レートは1米ドル=109円27銭で、前年同期間の1米ドル=121円03銭に対して11円76銭の円高だった。

なお円高による為替影響排除後ベースの数値を、前年同期間2015年1月?12月調整値との比較で見ると、売上高は4.1%増加、営業利益は18.1%増加、経常利益は15.7%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は17.5%増加となる。為替影響排除後ベースでは増収・2ケタ増益だった。

要因別増減分析によると、売上高(4,300百万円減少)の増収要因はインキ数量6,300百万円、機能性材料1,200百万円、その他2,400百万円、減収要因はインキ単価2,200百万円、印刷機材1,200百万円、為替10,700百万円、調整額100百万円だった。また営業利益(760百万円増加)の増益要因はインキ数量2,130百万円、インキコスト1,560百万円、機能性材料160百万円、その他20百万円、調整額7百万円、減益要因はインキ単価2,200百万円、機材70百万円、為替930百万円だった。

セグメント別(連結調整前)に見ると、前年同期間2015年1月?12月調整値との比較で、印刷インキ・機材(日本)は売上高が2.4%減の55,114百万円で営業利益が13.4%増の2,516百万円、印刷インキ(アジア)は売上高が6.6%減の28,308百万円で営業利益が6.5%増の3,170百万円、印刷インキ(北米)は売上高が6.4%減の42,044百万円で営業利益が3.2%減の2,218百万円、印刷インキ(欧州)は売上高が13.4%減の7,817百万円で営業利益が98.1%増の218百万円、機能性材料は売上高が7.8%増の10,162百万円で営業利益が21.0%増の925百万円、その他は売上高が18.9%増の15,168百万円で営業利益が5.5%増の419百万円だった。

印刷インキ・機材(日本)は新聞インキ、印刷製版用材料、印刷製版用関連機器が低調で全体として減収だったが、パッケージ関連は飲料・食品を中心にグラビアインキが好調に推移し、インキ販売数量増加やコスト削減の効果で増益だった。

印刷インキ(アジア)は、円高による為替換算影響で減収だったが、2015年10月に新工場を再建したベトナムを始めとして、全般的に主力のパッケージ関連のグラビアインキの拡販が進展した。インドと中国では新聞インキやオフセットインキの拡販も進展した。インキ販売数量増加やコスト削減の効果で増益だった。

印刷インキ(北米)は、円高による為替換算影響で減収だったが、主力のパッケージ関連は生産能力増強も背景に、グラビアインキ、フレキソインキ及びメタルインキが好調だった。パッケージ向けUVインキも好調だった。利益面ではインキ販売数量の増加や高付加価値製品の拡販が寄与したが、人件費の増加、及びブラジルのクリエイティブ社買収に伴う取得関連費用の発生が影響して減益だった。なお円高による為替影響排除後ベースでは増益である。

印刷インキ(欧州)は、円高による為替換算も影響して減収だったが、需要は年後半にかけて持ち直し傾向を強めたようだ。利益面では広告宣伝費などが増加したが、急激なポンド安が寄与して大幅増益だった。

機能性材料は全体として増収だった。欧米のインクジェットインキがやや低調で、円高による為替換算も影響したが、日本のインクジェットインキ、トナー、カラーフィルター用顔料分散液が伸長した。利益面では販売数量増加により増益だった。

円高による為替影響排除後ベースの数値を前年同期間2015年1月?12月調整値との比較で見ると、印刷インキ・機材(日本)が13.4%営業増益、印刷インキ(アジア)が23.7%営業増益、印刷インキ(北米)が7.8%営業増益、印刷インキ(欧州)が226.5%営業増益、機能性材料が21.7%営業増益、その他が5.5%営業増益となる。為替影響排除後ベースでは全セグメントが営業増益だった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

《HN》

 提供:フィスコ

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