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【市況】S&P500 月例レポート ― 「トランプ月間」の一言に尽きる“スーパーラリー”(4) ―

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

●投資家が押さえておくべきポイント(1)

【2月の概況】

 トランプ・ラリーは2017年2月も持続し、S&P500指数は3.72%上昇(配当込みのトータルリターンは3.97%)、年初来では5.57%(同5.94%)上昇、3ヵ月のリターンは7.50%(同8.04%)、1年間のリターンは22.33%(同24.98%)となりました。

 グローバル市場は引き続き、大統領選挙後の米国市場のラリーに対する出遅れを取り戻しています。大統領選から2016年末まででのグローバル市場の上昇分の89%(1兆1,300億ドル)が米国市場、残りの11%が(1,300億ドル)が米国を除くグローバル市場でしたが、この割合は年初来では米国市場が51%(1兆2,300億ドル)で米国を除くグローバル市場が49%(1兆1,900億ドル)、大統領選挙後では米国市場が64%(2兆3,600億ドル)でグローバル市場が36%(1兆3,200億ドル)となっています。

 3月は医療保険制度と18年度予算案をめぐって、マーチマッドネス(3月の熱狂)が繰り広げられることになるでしょう。トランプ大統領は国防費を540億ドル(約10%)増額する案を提示しており、その財源として国務省などの予算を37%削減することを提案しています。予算教書は3月半ばに議会に提出される予定です。

 政治的な対立は深まりつつあります。民主党員が団結の道を探る(「resist(抵抗しよう)運動」)一方で、共和党員からは政策に対する反対意見が上がっており、今後その声は高まることが予想されます。

2月の重要ポイント: 好むと好まざるとにかかわらず、2月も結局はトランプ月間

==> 株式市場は上昇

〇2017年2月27日までに米国を除くグローバル市場は2.83%上昇し、3.90%上昇した米国市場には及びませんでしたが、世界全体の株価を1.68%押し上げました。
  *新興国市場は引き続き出遅れを取り戻す展開となり、2月は3.90%上昇、年初来では9.19%の上昇となりましたが、大統領選後の上昇は4.69%にとどまりました。
  *先進国市場は2.72%上昇しましたが、米国市場を除外すると1.13%の上昇でした。また、選挙後は9.15%上昇しましたが、米国市場を除外すると5.95%の上昇でした。

  *S&P500指数の2月のリターンは3.72%の上昇、選挙後は10.76%の上昇となりました。

〇S&P500指数は史上最高値を9回更新し、時価総額が20兆ドルを超え、NYダウも終値での史上最高値を12日間連続で更新しました(1987年1月の12日間連続とタイ記録)。
  *VIX恐怖指数は低水準で推移し、12.94と前月比で上昇して2月を終えました(1月は11.99)。
  *FOMCが「かなり早期」の利上げを示唆した中で、金利は低下しました。

==>トランプ大統領と政府高官

〇イランが最近、弾道ミサイル発射実験を行ったことを受けて、大統領はイランに対し追加制裁を科すことを通告しました。

〇トランプ大統領は2010年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しを開始する大統領令に署名しました。

〇米連邦控訴裁判所が一部の旅行者とすべての難民の入国を制限する大統領令の即時復活を求める司法省の要求を退けたことから、大統領は米国最高裁へ上訴するとみられていました。大統領は差し止めを受けた大統領令に代わり、新たな大統領令を発行すると予想されます。

〇トランプ大統領は習近平・中国国家主席との電話会談において、米国の「一つの中国」政策(台湾を国として認めない)を確認しました。

〇大統領は一部の医療保険制度の改革を3月半ばに発表することを明らかにしました(減税による歳入減を別の財源で補う税収中立の観点から、税制改革に先立って医療保険制度関連の予算調整が必要)。税制改革はその調整が済んでからとなります。大統領の予算教書は3月13日に議会に提出される「見通し」です。

〇ムニューシン財務長官は2017年8月までに税制改革を行う意向であることを明らかにしました。

〇大統領は非国防分野の予算削減に言及した際、2018年度(10月~9月)の予算案で国防費を540億ドル(約10%)増額する案を提示しました。

==>最高値更新

〇S&P500指数は終値としての史上最高値を9回(年初来では12回)更新しました。金曜日の終値では3週連続過去最高値を更新し、2,363.64で2月の取引を終えました。

〇NYダウは12日連続で終値としての史上最高値を更新し、月末終値は20,812.24となりました。これはブラックマンデー(1987年10月19日にNYダウが22.61%下落)があった1987年の1月に記録した12日連続の最高値更新に並びました。

==>2017年2月のパフォーマンス

〇S&P500指数は1月の2,277.87から3.72%上昇、2016年11月8日終値の2,139.56からは10.47%上昇して2,363.64で取引を終えました。NYダウは1月の19,864.09から4.77%上昇し、20,812.24で取引を終えました。

〇原油価格は1月の52.80ドルから2.2%上昇、2016年年末の53.89ドルからは0.1%上昇して54.15ドルで取引を終えました。

〇米国10年国債利回りは先月の2.46%から2.39%に低下して取引を終えました(2016年12月は2.45%)。

〇金価格は1月の1,212.40ドルから3.0%上昇、2016年年末の1,152.00ドルからは8.4%上昇して1,253.40ドルで取引を終えました。

〇英ポンドは対ドルで1月の1.2576ドルから1.2433ドルに下落(2016年12月は1.2345ドル)、ユーロは対ドルで1.0796ドルから1.0586ドルに下落(同1.0520ドル)、円は対ドルで112.68円から112.85円に下落しました(同117.00円)。

〇VIX恐怖指数は1月の11.99から12.94に上昇しました(2016年年末は14.04)。

〇ボトム・アップ分析によるS&P500指数の1年後の目標株価は2,564(現行水準から7.4%の上値余地)、NYダウは21,928(現行水準から5.4%の上値余地)。

※「『トランプ月間』の一言に尽きる“スーパーラリー” (5)」に続く。

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