市場ニュース

戻る
 

【通貨】欧米為替見通し:ドル・円は上げ渋りか、米大統領演説に評価もイベント通過で

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る値動きを想定したい。注目されたトランプ米大統領の就任後初の議会演説は、市場からはある程度は評価される見通し。ただ、イベント通過に伴うドル買い一巡後は、ドル売りが出やすい展開となりそうだ。

トランプ大統領は日本時間11時(現地時間2月28日21時)すぎから演説を開始。冒頭、2月が米国の黒人歴史月間であることに触れ、人種など特定の属性に関する偏見や憎悪が原因となる暴行犯罪などは許さないと強調。その後、サウスダコタ州のパイプライン建設をはじめインフラ整備に1兆ドル規模を投資し、雇用創出を目指す考えを述べた。また、米国内の中間層を対象とした減税などを打ち出したほか、貿易不均衡の是正に乗り出す姿勢を示した。演説の内容自体に目新しさはなかったが、他国への攻撃的なトーンを弱め、9年後の建国250周年に向け国民に結束を呼び掛けたことが共感を得るだろう。

しかし、減税やインフラ投資に関し就任演説よりは丁寧な説明がみられたものの、財源については引き続き明らかにされておらず、懐疑的な見方は払しょくできなかった。また、国防費の大幅増額をはじめメキシコとの国境付近の「壁」建設、移民政策の見直し、保護主義的な通商政策など従来路線からの転換にも言明。米国が目先国際的に孤立化の道を歩み始めるとの不安も残した。演説を受けて米経済の成長期待から、今晩の欧米市場ではドル買いに振れやすいものの、不安要因により上昇は限定的となる可能性。また、イベント通過で利益確定のドル売りも出やすく、ドル買い一巡後は売りに押される展開が見込まれる。
(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:55 独・2月失業率(予想:5.9%、1月:5.9%)
・18:00 ユーロ圏・2月製造業PMI改定値(予想:55.5、速報値:55.5)
・18:30 英・2月製造業PMI(予想:55.8、1月:55.9)
・18:30 英・1月住宅ローン承認件数(中銀)(予想:68700件、12月:67900件)
・21:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:-2.0%)
・22:00 独・2月消費者物価指数速報値(前年比予想:+2.1%、1月:+1.9%)
・22:30 米・1月個人所得(前月比予想:+0.3%、12月:+0.3%)
・22:30 米・1月個人消費支出(前月比予想:+0.3%、12月:+0.5%)
・22:30 米・1月コアPCE価格指数(前年比予想:+1.7%、12月:+1.7%)
・22:30 カナダ・10-12月期経常収支(予想:-97.5億加ドル、7-9月期:-183億加ドル)
・23:45 米・2月製造業PMI改定値(予想:54.5、速報値:54.3)
・24:00 カナダ中銀が政策金利発表(0.50%に据え置き予想)
・24:00 米・2月ISM製造業景況指数(予想:56.2、1月:56.0)
・24:00 米・1月建設支出(前月比予想:+0.6%、12月:-0.2%)
・03:00 カプラン米ダラス連銀総裁講演
・04:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
・08:00 ブレイナード米FRB理事講演(経済見通しと金融政策)

《SK》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均