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【経済】【中国】20年までに「内陸原発」着工へ、候補地は湖南・湖北・江西


中国は2020年までに、内陸部での原子力発電所の建設に着手する構えだ。すでに建設地の選定が始まっている。湖南省の桃花江、湖北省の咸寧、江西省の彭沢などが候補として挙がっている状況だ。国家国防科技工業局の副局長で、中国国家原子力機構の副主任を兼任する王毅ジン(韋+仞のつくり)氏が話した内容として、複数メディアが14日伝えた。

中国の内陸部では経済の発展に伴ってエネルギーの需要が拡大し、特に湖南や湖北、江西といった省では電力の供給がひっ迫しているという。王副局長は現地メディアの取材に対し、一部で内陸部原発の安全性を懸念する声が上がっている現状を認めながらも、「世界の400余りの原発のうち、大部分は津波や台風の影響を受けない内陸部に建設されている」と説明。また、中国の原子炉技術はすでに第3世代に入っており、「安全性は大幅に向上している」と強調した。

11年の福島第1原発事故を受けて、中国政府は原発の新設認可を一時凍結。翌年には、事故の際に水源汚染リスクの高い内陸部について、15年まで原発の建設を認めない方針を発表した。ただ15年に入り、沿海部での原子炉建設を再開。その後、内陸部での建設もスタートする考えを示していた。

中国の原発は現在、遼寧省、山東省、江蘇省、浙江省、福建省、広東省、広西チワン族自治区などすべて沿岸部に分布している。一方、世界全体で見れば、14年末の時点で稼働中の原子炉438基のうち、約半数が内陸部に位置する状況だ。特に、米国、ロシア、カナダでは内陸部原発の比率が高く、それぞれ61.5%、58.1%、85.7%に達している。

さらに王副局長によると、沿岸部では「核燃料産業園」を立ち上げる考え。中国では現在、核燃料の供給源が西部エリアに集中しており、輸送が不便などといった課題を抱えている。

なお、中国政府は16~20年の5カ年計画として、最終年度に稼働中の原子炉数を90基余りまで増やすことを目標としている。実現すれば、原子炉数でフランスと日本を追い抜き、米国に次ぐ「原発大国」となる見通しだ。容量ベースでは、20年に「稼働5800万kW、建設中3000万kW」を目指す。

中国各電源の総容量は、16年末時点で前年比8.2%増の16億4575万kWに上った。内訳は水力が3.9%増の3億3211万kW、火力が5.3%増の10億5388万kW、原子力が23.8%増の3364万kW、風力(送電網と接続された設備)が13.2%増の1億4864万kW、太陽光(送電網と接続された設備)が81.6%増の7742万kW。


【亜州IR】

《SK》

 提供:フィスコ

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