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【市況】米系大手証券、米国金融政策見通しを変更

 JPモルガン証券は16日付のリポートで、米国金融政策見通しの変更について、以下のような見解を掲載している。

 同証券は「当社は、年内の米国金融政策見通しを変更した。年内2回の見通しに変更はないが、時期は5月3日と9月20日(従来は6月14日と12月13日)とする。2018年の見通し(3月と9月、バランスシート正常化の開始は6月FOMCで決定)は維持する。今回の見通し変更は、昨日公表されたCPIが予想より強かったこと、およびFed高官の発言が最近ややタカ派よりに傾いていたことを反映している」と概要を示している。

 1月のCPIについては「1月のCPIは、総合が前月比0.6%上昇して前年比は2.5%となった。エネルギー価格は前月比4.0%、食品は0.1%の上昇。これらを除くコア指標は0.31%上昇と2006年以来の高い伸びとなり、前年比は2.3%にまで加速した。コアの中で強かったのは財(goods)で前月比0.5%も上昇している。より詳細をみると、衣服(プラス1.4%)、新車(プラス0.9%)、および家具(プラス0.9%)。サービスは最近のトレンド並みの0.3%上昇に止まっている。これらを踏まえて、Fedが注目しているコア個人消費(PCE)デフレータ(3月1日公表)は0.347%上昇し、前年比は12月の1.70%から1.77%に加速する」としている。

 一方、Fed高官の最近の発言については「ややタカ派によっている印象を受ける。ほぼ全ての高官がマンデート(政策目標)の一つである雇用最大化は事実上達成されたとみているほか、物価安定の目標(PCEデフレータで前年比2%のインフレ目標)にも近づいている。1月のCPIはこうした判断を強めるものになると考えられる。無論、今回のインフレ加速は上記のとおり財に集中しており、一時的とみられてもおかしくないが、コアPCEデフレータは、前年の弱さが解消することから前年比は今後加速しやすくなる。3月15日のFOMCでは、インフレが予想どおり正しい方向、つまり2%に向かって上昇していることをメンバーが確認することになると思われる。2月の雇用統計(3月10日)を予想するには少し早すぎるが、週次の新規失業保険申請件数を踏まえると強めの結果になりそうである」としている。

 さらに、具体的な利上げ時期については「ただ、(イエレン議長が議会証言で可能性を否定しなかった)3月15日の利上げについては、早過ぎるとみている。今のFOMCメンバー達には、市場の準備が整うことを好む傾向があるからだ。3月FOMC後のコミュニケーションでは、5月3日の利上げを強く示唆することになると当社はみている。5月のFOMC後には、記者会見が予定されていないことが利上げを躊躇させるとの見方もあるが、記者会見が事前に予定されている年4回しか政策変更ができないとの縛りをメンバー達は嫌がっていると当社はみている。今回はむしろ全てのFOMC(年8回)がLive(政策変更があり得る)ことを示す好機になると考えられてもおかしくない。フランス大統領選(2回目)が1週間後(5月7日)に予定されているが、ここ数年の欧州懸念が米国経済には殆ど影響を及ぼしてこなかったことを踏まえると、政策判断に影響を及ぼすことはないと思われる」としている。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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