市場ニュース

戻る
 

【特集】アドクリ Research Memo(2):ダンベル型ビジネスモデルの確立を目指す

Aクリエイト <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業概要

(1)事業セグメント別の概要

アドバンスクリエイト<8798>の事業は保険代理店事業、メディア事業、再保険事業の3つの事業に区分されている。事業別の構成比(2016年9月期実績)で見ると、保険代理店事業が売上高で78.8%、営業利益で66.2%を占める主力事業となっている。今後は子会社で展開する再保険事業を強化し、中長期的には保険代理店事業と再保険事業を収益柱とするダンベル型ビジネスモデルの確立を目指している。事業別の概要は以下のとおり。

a)保険代理店事業
保険代理店事業は、同社の保険選びサイト「保険市場」を通じて資料請求や問い合わせなどがあった見込み客に対して、非対面型の通信販売やネット完結型保険の販売、同社直営店舗であるコンサルティングプラザ「保険市場」での対面販売、提携先となる協業代理店での販売など多様な販売チャネルを通じて、保険商品の販売を行っている。

販売する保険商品は生命保険や損害保険、少額短期保険など個人が利用する保険商品のほか、法人向け保険商品も扱っており、2016年9月末時点の「保険市場」での取扱保険会社数は81社、保険商品数では200点を超え業界最大規模を誇っている。この中でも最も多く販売している保険会社はメットライフ生命保険(株)で、同社売上高に占めるメットライフ生命保険の比率は2016年9月期で37.6%(前期は55.3%)となっている。

保険代理店事業における売上の主な内容は、保険会社から支払われる手数料収入となる。保険契約者が保険会社に支払った保険料に対して、定められた手数料料率を乗じたものが保険会社から同社に支払われる。生命保険など支払いが複数年にわたるものは、初年度と次年度以降で手数料料率が変動するタイプの商品もある。手数料料率に関しては会社ごと、保険商品ごとに様々だが、傾向的には貯蓄性の高い商品の手数料料率が低く、逆に掛け捨て型の商品は高くなる。

年間の代理店手数料収入のうち、新規契約分の手数料収入が占める比率は約8割で、残り2割は既契約分の継続手数料収入(複数年契約の保険商品で2年目以降の手数料収入分)となっている。このため、期初の段階で年間売上高の約2割は把握できることになり、ストック型のビジネスモデルに近い収益構造と言える。なお、協業代理店で販売契約したものに関しては、手数料収入を約半分ずつにシェアする格好となっている。

販売拠点としては、2016年9月末時点で直営店が13拠点、提携先代理店社数が123社314店舗となっている。直営店に関しては、交通至便な都市部のランドマーク的ビルに出店し、金融商品に対するリテラシーが高いアッパーミドル層を中心に販売していく戦略となっている。また、直営店でカバーしきれないエリアの見込み顧客に対しては、提携する協業代理店を通じて販売している。なお、協業代理店に関しては、改正保険業法の施行(2016年5月)に対応するため、各社ガバナンス体制やコンプライアンス体制、情報セキュリティ体制など社内管理体制の精査をここ2?3年かけて実施し、2013年9月時点の304社428店舗体制から大きく絞り込んだ格好となっている。

b)メディア事業
メディア事業は、保険選びサイト「保険市場」を広告媒体とした広告枠の販売事業となる。サイトの特性上、保険に関連する会社が広告主となっている。

c)再保険事業
再保険事業は、同社が保険代理店として獲得した保険契約の一部について、元受保険会社と同社の子会社であるAdvance Create Reinsurance Incorporatedとの間で再保険契約を結ぶスキームとなっている。主に生命保険の再保険を中心に引き受けており、2016年9月末時点の契約先企業は10社(生命保険6社、損害保険2社、少額短期保険2社)となっている。ストック型のビジネスモデルであるため、期初段階でほぼ年間の収入見通しが把握可能で、大きな自然災害や環境変化などが無ければ、営業利益率で15%前後の収益性が期待できる事業となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均