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2017年01月16日08時06分

【経済】資質と品格を欠くトランプ次期大統領がまだ発していない一言


先週、注目のトランプ次期大統領の当選後初の記者会見が行われた。大統領選挙直後の攻撃的なトーンを封印した殊勝な「良いトランプ」と言われたスピーチと異なり、選挙キャンペーン中と同様のトランプ節の会見となった。
 全体的にみると、ロシア関係に時間が多く割かれ、特定のメディアを激しく攻撃する場面が目立った。特定のメディアをフェイクニュースと罵り、質問に答えない姿は大統領としての品格に疑問符がつくものだった。
 それにしても、トランプ氏が全ての手順を飛び越えて、ツイッター等で特定の企業や報道機関を名指して攻撃するのは、強権的な共産主義国のトップでも表立っては行わない異例の行動だ。
 特定企業に対する攻撃では、大手自動車会社のメキシコ工場建設をやめさせるなどしている。これではもはや自由主義国とは言えないのではないか。
 トランプ氏は特に製造業の米国回帰による雇用増加に執心しているが、米国は脱工業化社会を果たしており製造業の重要性は大きく低下している。現に、サービス業や新しい産業の伸長で米国の雇用は月に20万人弱のペースで増加し続けており、完全雇用も近いと評価されている。
 まだ同氏は自由貿易についても否定的で、中国、メキシコ、日本を不均衡貿易の対象として槍玉にあげ、高い関税を示唆するなどむき出しの保護主義を主張している。確かに、自由貿易も行き過ぎると問題が生じるが、世界経済は基本的に自由貿易の進展にしたがって成長してきたのであり、貿易は両国間の勝った負けたではなく、Win-Winの関係になることが重要である。同氏の一貫した極端な主張からすると、自由貿易によるメリットに対する理解が非常に低いか全くないと言ってよい。
 トランプ氏のツイッターによる異例の行動により、攻撃された企業の株価が大きく変動するなどの影響も出ている。
 ただ、現時点で最も出そうで出てない発言が、為替水準に対する言及だ。ツイッターで「ドルが高すぎる」などとつぶやこうものなら為替市場に大きな混乱が生じることは必至だ。
 現時点で為替について直接的なコメントが出ていない理由としては、(1)ドル高傾向に気付いていない、(2)気付いているが市場を混乱させないようにコメントを控えている、(3)現在の水準を容認している等が考えられるが、定かではない。よもや(1)ではないと思うが、貿易不均衡を強く主張していることから(3)も考え難い。
 希望的観測としては(2)だ。中国を為替操作国として認定すべきとの主張からすると、自ら為替操作と受け止められる行動は慎んでいるということが考えられなくもない。
 ただ、トランプ氏の言動を見ると、そのような自制心を持っているのかはなはだ疑わしい。
 これ以上、ドル高が進行すると我慢できずに「その一言」をツイートするかもしれない。もしそうなれば、為替市場はファンダメンタルズやルールに従って動くのではなく、トランプ氏の気分次第ということになるだろう。
《YU》

 提供:フィスコ

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