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【通貨】為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、FOMCの金利予測などが手掛かり材料に

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株高と米長期金利上昇でドルは10カ月ぶりの115円台

先週のドル・円は一段高。日米などの株高や米長期金利の上昇を意識したドル買い・円売りが広がり、ドル・円は9日の欧米市場で10カ月ぶりとなる1ドル=115円台前半まで上昇した。

4日に行われたイタリア国民投票で憲法改正案が否決されたことを受けてレンツィ伊首相は辞任を表明し、週明け5日の東京市場ではリスク回避の円買いが優勢となった。ユーロ売り・円買いの影響などでドル・円は一時113円を下回った。しかしながら、5日の欧米株式市場で著しい混乱は生じなかったことから、リスク回避の円買いは一服し、欧米諸国の株高を意識した円売りが活発となった。

1ドル=114円台では短期筋などのドル売りが観測されたが、NYダウは連日で最高値を更新し、東京株式は4連騰を記録したことから、リスク選好的なドル買いが再び強まり、9日の欧米市場でドル・円は10カ月ぶりとなる115円37銭まで上昇した。この日発表された12月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は、市場予想を大きく上回ったことがドル上昇を促した。

欧州中央銀行は8日、資産買い入れプログラムの期間延長を決定したが、来年4月より毎月の買い入れ額は現行の800億ユーロから600億ユーロに減額される。市場関係者の間では量的緩和策の規模縮小とみなされたが、NYダウは史上最高値を連日更新し、年内2万ドル到達への期待が高まった。日経平均株価は9日の取引で、昨年12月30日以来となる1万9000円台に上昇しており、ECBによる資産買い入れ規模縮小に対する市場の反応は一時的なものにとどまった。取引レンジ:112円88銭-115円37銭。

■ドルは下げ渋りか、FOMCの金利予測などが手掛かり材料に

今週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備理事会(FRB)は13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年12月以来、1年ぶりの利上げに踏み切る公算。政策金利は現行の0.25%-0.50%から0.50%-0.75%へ引き上げられる公算。市場は0.25ポイントの利上げを完全に織り込んでいるため、FOMCの経済・金利予測が前回(9月)と同じ内容だった場合、リスク選好的なドル買いは拡大せず、利食い目的のドル売りが増える可能性がある。

前回(9月21日)公表のFOMC予測では、2017年末の政策金利(FFレート)の予測中央値は1.1%、2018年末は1.9%、2019年末は2.6%となっていた。今回公表される政策金利予測が9月時点での予測を上回っていた場合、早期追加利上げに対する市場の期待は強まりそうだ。その結果、ドル買いが優勢となる可能性は十分あると思われる。

トランプ次期政権が計画している大規模減税などの経済・財政政策に対する市場の期待は依然として高いことや、原油価格の先高観は消えていないことはドル高要因となる。一部の投資家は、「トランプ次期政権はドル高に対して寛容ではない」と考えているようだが、最近では雇用情勢の改善や景気回復が明らかになれば、トランプ政権はドル高を懸念しなくなるとの見方が浮上している。

一方、急速なドル高に対する警戒感も広がっている。市場関係者の間では「利上げ発表で材料出尽くし感が広がり、利食い目的のドル売りが増える可能性がある」との見方が浮上している。利上げ発表後に米国株が大きく下げた場合や原油先物が下落した場合、ポジション調整的なドル売りが広がることが警戒されている。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(12月13-14日開催)
14日にイエレン連邦準備理事会(FRB)議長が記者会見を行う。政策金利0.50%を0.75%に引き上げる公算で、利上げは昨年12月以来、1年ぶり。2017年の利上げペースが市場が想定している年2回にとどまるとの思惑が広がれば、ドルの先高観は大きく後退しない可能性がある。イエレンFRB議長がトランプ次期政権の経済政策に期待を示した場合もドル買い材料になりそうだ。

【米・11月消費者物価コア指数】(15日発表予定)
15日発表の11月消費者物価コア指数(コアCPI)は前年比+2.2%と、10月実績の+2.1%をやや上回る見通し。市場予想を上回った場合、インフレ進行の思惑が広がることから、ドル買い要因となる可能性がある。

予想レンジ:114円00銭?117円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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