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【経済】NYの視点:米労働市場のスラックは存続


米連邦準備制度理事会(FRB)が本年最後となる連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決定することがほぼ確実視されている。米国経済はFRBの2つの責務の目標達成に向けて前進している。労働市場はほぼ最大雇用に近いと見られているほか、インフレも中期目標である2%に向けて上昇している軌道にあるとの見方が根強い。

一方、労働市場に関しては、イエレンFRB議長を初めFOMCメンバーは依然スラックが存続しており、一段と改善の余地があるとの見方も根強い。イエレンFRB議長が労働市場のたるみを探る上で注目している米10月JOLT求人件数は553.4万件と、9月の563.1万件からは減少したものの市場予想550.0万件は上回り統計開始以来の高水準を保った。また、9月分も548.6万件から563.1万件へ上方修正された。

しかし、指数の中でも特にイエレンFRB議長が重要視している退職率(Quits rate)は9月に続き2.1%、採用率(Hires rate)も3.5%と9月に並び、危機前の 3.8%を未達。労働市場に引き続きスラック、たるみが存続している証拠が示された。

トランプ次期政権が掲げている財政刺激策、減税も議会の承認を要し、実施は確定ではない。また実施されても、景気に効果が出始めるのは2018年以降と見られている。このため、2017年の利上げは2016年に続き緩やかなものに留まると見られている。


■イエレンFRB議長の雇用たるみダッシュボード(最新)

◎危機前に比べ状態が改善 危機前の水準と比較
10月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.0%(9月1.0%) 1.4%
11月失業率(Unemploynent rate):4.6%(10月4.9%)     5%
10月求人率(Job openings rate):3.7% (9月3.7%)   3%
10月退職率(Quits rate):2.1%(9月2.1%)     2.1%
11月雇用者数(Nonfirm payrolls):+17.8万人(10月+14.2万人) +16.18万人

◎状態が危機前より依然悪い
11月広義の失業率(U-6):9.3%(10月9.5%) 8.8%
11月長期失業率:39.2%(10月40.1%) 19.1%
11月労働参加率:62.7%(10月62.8%) 66.1%
10月採用率(Hires rate):3.5%(9月3.5%)     3.8%

《WA》

 提供:フィスコ

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