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【市況】米系大手証券、米国大統領選挙と反グローバリズム

 JPモルガン証券は11月28付の「米国大統領選挙と反グローバリズム」に関するリポートで、以下のような見解を掲載している。

 米国大統領選挙は、選挙人獲得数ではトランプ氏が圧勝したが、得票数では、ヒラリー・クリントン氏が200万票以上の差でトランプ氏を上回った。トランプ氏の戦術面の勝利とも言えるが、出口調査の結果を見ると、トランプ氏を支持したのは「大卒未満」「地方小都市・農村」が多かった。一方、ハイテク産業の多いカルフォルニア州や、グローバル企業の多い東部州ではヒラリー氏が勝利した。

 その意味では「所得格差拡大」が背景とも言えるが、所得格差拡大は今に始まったことではない。むしろ、より重要なのは、労働生産性上昇率低下に伴う実質所得水準の改善ペースの鈍化だ。これに、所得分配の歪みが重なった結果、実質所得水準の伸びが大幅に低下あるいはマイナスになった人々が増加したことが、人々の不満の高まりであり、トランプ勝利の背景と考える。

 この労働生産性の低下は欧州でも見られる現象であり要注意だ。保護貿易主義は、世界の経済成長率を一段と押し下げるので、最も危険な政策対応だ。足もとの株高、ドル高、長期金利上昇は米国製造業にとってマイナスだ。トランプ政権発足後、米国政府は、レーガン政権同様、どこかの時点でドル安政策に転じるリスクがある。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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