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【通貨】為替週間見通し:ドルはしっかりとした動きか、12月利上げ織り込む展開に

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米大統領選でトランプ氏勝利、新政権への期待で株高・円安の相場展開

先週のドル・円は結果的に大幅高となった。8日に行われた米大統領選では事前予想に反して共和党のドナルド・トランプ候補が激戦州の多くを制して当選した。9日の東京市場では開票過程でトランプ候補優勢の州が増えていると報じられたことから、日経平均株価は一時1000円を超える下げとなった。ドル・円は105円47銭まで買われていたが、トランプ候補勝利の可能性が高まったことや株安を嫌気して、一時101円20銭まで下落した。

しかしながら、大統領選の大勢判明後はドルを買い戻す動きが急速に広がり、9日の欧米市場ではトランプ氏の大統領当選の報道を受けてドルは105円台後半まで上昇した。トランプ次期米大統領の経済・財政政策はインフレ加速の要因になるとの見方が広がり、米長期金利が上昇したことから、ドルは10日のニューヨーク市場で106円95銭まで買われた。

米長期金利の上昇によって新興国市場から資本が流出するとの観測が浮上し、11日にはアジアの複数の中央銀行がドル売り介入を行ったもようだが、ドル・円は106円台を維持し、106円70銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:101円20銭-106円95銭。

■ドルはしっかりとした動きか、12月利上げ織り込む展開に

今週のドル・円はしっかりとした動きを見せることになりそうだ。米大統領選は終了し、市場の関心は再び米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に向かうことになる。経済指標や当局者発言を手がかりに12月利上げを織り込む展開となりそうだ。10月小売売上高、10月鉱工業生産、10月消費者物価指数などの米主要経済指標が注目される。

これらの主要経済指標内容が堅調なら利上げ期待が高まり、ドルを押し上げる見通し。ただ、同時に来年以降の引き締めペースも注目されそうだ。年2回の利上げが期待できる内容でなければドルの上昇は小幅にとどまる可能性がある。

一方、8日の大統領選で勝利した共和党のトランプ氏がどのような政権を発足させるか注目される。トランプ氏は選挙期間中の候補者討論会などでの過激な発言が問題視されたが、経済・財政政策は一定の評価を得ているようだ。外交や内政に関しては精通していないとみられているが、政策運営全般に対する市場の期待が高まればドル買い材料になるとみられる。

その他では、原油価格の動向も手がかりになりそうだ。主要産油国による協調減産体制に不透明感が広がっており、供給過剰懸念が広がる可能性がある。11月30日開催の石油輸出国機構(OPEC)の総会に向けて、主要産油国が供給過剰問題に協調して対応すれば、原油価格は上昇に転じる可能性がある。原油高はドル買い・円売りの材料になる。

【日・7-9月期国内総生産(GDP)速報値】(14日発表予定)
14日発表の日本の7-9月期国内総生産(GDP)は前期比+0.2%、年率換算では+0.8%と多少の改善が見込まれている。予想通りであれば円売り材料になるとみられているようだ。

【米・10月消費者物価コア指数(CPI)】(17日発表予定)
17日発表の米10月消費者物価コア指数(コアCPI)は前月比+0.2%、前年比+2.2%と予想されている。物価上昇基調が確認された場合は12月利上げを後押しすることになり、ドル買いにつながりやすい。

予想レンジ:105円00銭?108円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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