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【通貨】欧米為替見通し:対米関係で通貨に明暗、ポンドは買い戻し継続

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米市場では、米次期政権への期待と警戒が交錯するなか、各国の対米関係を手がかりとした取引となりそうだ。メキシコやカナダは貿易への影響が想定されるためペソやカナダドルは売られやすい。一方、英国は協調的な関係構築が見込まれ、ポンドは買い戻しが強まるだろう。ドル・円に関しては、足元の米債利回り上昇などで短期的にはドル高に振れやすい状況だが、今後の日米関係については環太平洋経済連携協定(TPP)や在日米軍の駐留経費負担といった課題があり、17日に予定されるトランプ氏と安倍晋三首相との会談が注目される。

米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏の政策は、インフラ投資の拡大といった大まかな方針は伝えられるものの、詳細に関しては未知数。ただ、「トランプ・リスク」はいつの間にか期待に変わり、株高、米債利回りの上昇を通じてドル買い基調が強まっている。前日の海外市場では、ドル・円は一時107円台に迫った。そうしたなか、対米関係をキーワードとした取引も注目される。

象徴的なのはメキシコペソだ。トランプ次期大統領はメキシコとの国境付近に壁を建設するなど、従来の両国関係を悪化させるような発言が取りざたされた経緯がある。メキシコは米国との貿易依存度が高いため、今後の経済情勢への懸念からペソは9日以降12%程度も下落。カナダもメキシコ同様、米国との関係が不透明でカナダドルは値を下げている。来年1月のトランプ政権の発足時には両国の対米関係は回復しているとみられるものの、不安を背景としたペソ売り、カナダドル売りはなお続きそうだ。

対照的に、欧州連合(EU)離脱選択で英国は米国との貿易関係を従来以上に強める可能性から、ポンドは買われやすい地合いとなっている。ポンド・ドルは約1カ月ぶりの高値圏で推移。英中銀の年内利下げ方針撤回もあり、ポンドの買い戻しは継続する可能性がある。


【今日の欧米市場の予定】
・22:30 フィッシャー米FRB副議長講演(米金融政策と世界経済)
・24:00 米・11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(予想:87.9、10月:87.2)
・米国の債券市場は「ベテランズデー」祝日で休場、株式市場は通常通り

《WA》

 提供:フィスコ

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