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【特集】C&R Research Memo(7):17/2期2Qは増収増益、計画に対して超過して着地

C&R <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績と財務状況

(1)好調な進捗の第2四半期連結決算

10月6日に発表されたクリーク・アンド・リバー社<4763>の2017年2月期第2四半期連結業績は、売上高が前年同期比3.2%増の13,277百万円(会社計画13,250百万円)、営業利益が同11.5%増の1,011百万円(同930百万円)、経常利益が同5.8%増の947百万円(同900百万円)、親会社に帰属する四半期純利益は同12.0%増の522百万円(同470百万円)となった。会社計画に対して、売上高が0.2%、営業利益が8.8%、経常利益で5.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益で11.2%と大きく超過達成しての着地となった。主力の日本のクリエイティブ分野の売上高は計画どおりに順調に進捗したほか、医療分野が医師の紹介事業を中心に好調に推移した。営業利益段階では、韓国のクリエイティブ分野で退職金及び障害者雇用納付金増加の影響により損失を計上したが、日本のクリエイティブ分野が順調な売上げを計上し増益となった。その他セグメントに含まれるIT分野でもPython技術者の採用・育成に特化したITエンジニアの派遣事業に注力、これが利益を押し上げ、さらに医療分野でも医師の紹介事業を中心に好調で大きなけん引役となった。なお、医療分野の営業利益が549百万円と、日本のクリエイティブ分野の430百万円を上回ったのは、医療の案件が第2四半期までに集中するため。経常利益段階での増益幅が比較的小幅にとどまったのは、2015年に持分法適用会社化したエコノミックインデックスでビッグデータ解析ツール「EIセンチメント」クラウド版開発に伴う先行投資段階にあり、この影響額が当第2四半期累計期間において▲67百万円発生したからである。

(2) 2016年2月期連結営業利益は販管費がかさみ前期比9.1%減の1,177百万円

2016年2月期連結業績は、売上高が前期比8.7%増の24,909百万円、営業利益が同9.1%減の1,177百万円、経常利益が同15.5%減の1,116百万円、当期純利益は同15.8%減の626百万円と増収減益になった。IT分野で減収となったが、ゲームなどのクリエイティブ分野(日本・韓国)及び医療分野で堅調に事業が推移、グループ全体での派遣稼働者数及び紹介成約者数は過去最高を記録、増収に寄与した。しかしながら、日本のクリエイティブ分野で戦略的に人員を増加したほか、韓国の同分野では退職引当金が増加、IT分野で新規連結子会社であるPM社などで販管費の増加があり、営業利益段階で減益となった。しかしながら、2016年2月期の1株当たり配当額は前年から1円増え年間8円となった。

時価の変動に伴い投資有価証券が上昇したことや、受取手形及び売掛金と現預金の増加などにより、総資産は前年度末より13.8%拡大し10,183百万円となった。短期借入金が増加しているが、1,150百万円に留まっていること、現預金が3,490百万円で引き続きネットキャッシュ状態であることから問題は全くない。四半期純利益の計上で利益剰余金が拡大したこと、またその他の包括利益も増加したことなどから、純資産は同10.3%増の5,724百万円となった。

キャッシュ・フロー計算書では、税引前四半期純利益の拡大や減価償却費の増加、その他の負債の増加などより営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比132.0%増の566百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローでは、前年同期にあった関係会社株式の取得による支出がなくなったことやその他の支出が減少したなどことから、前年同期の1,005百万円の支出から縮小し434百万円の支出で着地。財務活動では、短期借入れによる収入の増加が主因で拡大し、241百万円の収入となった。四半期末時点の現金及び現金同等物の残高は、2,774百万円となった。第2四半期累計のセグメント別変動要因は以下の通り。

クリエイティブ分野(日本):売上高は前年同期比5.1%増の8,034百万円となり、セグメント利益では、人件費の増加があったものの利益率の高い制作受託案件がそれを上回り、同3.8%増の430百万円で着地。概ね計画通りに進捗した。

クリエイティブ分野(韓国):円高ウォン安が大きく影響し、売上高は前年同期比15.7%減の1,610百万円となった。為替影響除きでは前年同期比1%増。退職引当金および障害者雇用納付金が増加し、セグメント損益は2百万円の損失(前年同期は12百万円の利益)を計上した。

医療分野:医師不足や地域別偏在を背景に医師の紹介事業が好調に推移し、売上高は前年同期比16.0%増の2,169百万円、セグメント利益は同17.3%の549百万円の着地となった。

その他:IT分野で減収があったものの他分野が補い、売上高は前年同期比1.5%増の1,488百万円となった。IT分野で事業基盤の再構築が進み利益が改善、セグメント利益は同220.3%増の33百万円。

(3) 2017年2月期の連結業績予想と2018年2月期の業績イメージ

通期連結業績予想の売上高26,500百万円(前期比6.4%増)及び営業利益1,600百万円(同35.9%増)、経常利益1,550百万円(同38.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益800百万円(同27.7%増)。

1株当たり配当予想は、前期より1円増配し期末9円。

基幹システムのリニューアルなどに伴い無形固定資産が増加したが、時価の変動や売却で投資有価証券の減少もあり、総資産は前期比1.2%減の8,947百万円となった。有利子負債は同32.9%増だったが、総額は750百万円と同社の規模に対しては些少であること、また現預金が3,143百万円でネットキャッシュであり、気にする必要はない。包括利益が減少したが、最終利益の計上に伴い利益剰余金が増加し純資産は同0.9%増の5,189百万円となった。

キャッシュ・フロー面では、同期が減益だった影響や売上債権の増加などで営業活動によるキャッシュ・フローは、前年比53.9%減の622百万円の支出となった。投資活動は前年度より活発で、無形固定資産の支出、関係会社株式の取得による支出、有形固定資産の支出などにより、1,375百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローでは、短期借入れによる収入が多く、前年の557百万円の支出から42百万円の収入に転じた。セグメント別変動要因は以下の通り。

クリエイティブ分野(日本):ゲーム分野が好調で売上高は前年比6.3%増の15,237百万円。しかしながら、新規エージェンシー事業の立ち上げや、既存事業における需要増に伴う人員増があり人件費が増加、またゲーム分野の広告費の増加などがあり、セグメント利益は、同10.6%減の719百万円と減益となった。

クリエイティブ分野(韓国):堅調に推移し売上高は前年比16.6%増の3,820百万円となった。為替影響除きでは前年比5%増。しかしながら、韓国国内で派遣事業の競争が激化し利益率が低下、セグメント利益は同43.0%減の23百万円を計上した。

医療分野:医師不足や地域別偏在の背景は変わらず医師の紹介事業が好調に推移し、売上高は前年比6.5%増の2,909百万円、セグメント利益は同13.3%の409百万円の着地となった。

その他:売上高は前年比13.3%増の2,968百万円、セグメント利益は同71.6%減の24百万円となった。IT分野で減収だったものの、他分野が前年比25%増と大きく伸び売上高は増収での着地。一方、IT分野の大型案件が減少したことや先行費用の発生などにより減益となった。

2016年2月期の決算説明会資料において、2018年2月期は、既存事業の成長で連結売上高300億円及び営業利益20億円を狙える水準で、新規事業も成長した場合は営業利益30億円に届くイメージが示された。期初に織り込んでいなかった韓国子会社における会社分割等が予定されており、これが2018年2月期には減収要因になるため、当初見込んだ連結売上高は達成できない可能性がある。しかしながら、これによる利益への影響は軽微であることを考慮すると、連結営業利益20~30億円はまだ射程範囲内にあると言える。もしこれらの利益水準が達成できればどちらも過去最高額で、仮に配当性向20%を前提としても、増益イコール増配と意識される局面になるだろう。創業以来、幾期か減益決算もあったが、おおむねきれいな右肩上がりの業績を達成してきた。これまで人的・金銭的投資をして展開フォーマットを完成するのに時間を要したが、これまでの蓄積により他分野への展開は容易である見通し。同社は、今後の収益拡大が一気に進むと見ている。なお、現時点で特定の買収案件はないようだが、収益機会の拡大を目的に買収も一手段としては検討しているもようだ。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)

《HN》

 提供:フィスコ

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