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【通貨】為替週間見通し:上値は重くなりそう、米大統領選を控えて様子見ムードが広がる可能性

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル上昇は一服、米FBIがクリントン氏私用メールで調査再開

先週のドル・円は上昇一服。米12月利上げを織り込むドル買いが優勢となり、ドルは7月29日以来となる105円53銭まで買われた。28日発表された7-9月期米国内総生産(GDP)は、前期比年率+2.9%で市場予想を上回る成長率となったことがドル一段高の要因となった。米長期金利に上昇圧力が加わったが、「米連邦捜査局(FBI)が民主党大統領候補ヒラリー・クリントン氏の私用メールに関する調査を再開した」との報道を受けてリスク回避的なドル売りが活発となり、ドルは104円台半ば近辺まで売られた。

報道によると、コミーFBI長官は、ヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に私用メールを使用していた問題で、新たに浮上した電子メールについてFBIが調査を再開する方針を明らかにした。コミー長官は機密情報が含まれているか調べる方針であり、調査が終了するまでの時間は特定できないと伝えている。

市場関係者の間では、「FBIによる調査が11月8日の米大統領選までに終了しない可能性があり、どのような調査結果になるのか、予測困難であることから、FBIによる調査再開が大統領選に大きな影響を及ぼす可能性がある」との見方が広がっている。28日の米国市場では、クリントン氏の私用メールに関する調査再開の報道を受けて米ドル、米国株、原油先物が下落し、債券、金先物が買われた。一部の市場関係者は「米大統領選挙が行われる11月8日にかけてリスク回避的な取引が増加し、ドルの上値は重くなる」と指摘している。取引レンジ:103円72銭-105円53銭。

■上値は重くなりそう、米大統領選を控えて様子見ムードが広がる可能性

今週のドル・円は上値の重い展開となりそうだ。米連邦捜査局(FBI)はヒラリー・クリントン氏の私用メールに関する調査を再開したとの報道を受けて28日の欧米市場ではリスク回避的なドル売りが観測された。株式や原油先物も下げており、ドル上昇を抑える要因となった。

今週は日米の金融政策が決定されるが、いずれも現状維持となる可能性が高い。米FBIがクリントン氏の私用メール問題で調査を再開したが、このことが米金融政策に直接的な影響を及ぼす可能性は低いと予想される。ただし、FBIによる調査再開が米大統領選に大きな影響を与えることは避けられないとの見方は多い。クリントン氏の勝利濃厚との思惑が広がっていたが、選挙結果は予断を許さない状況となりつつある。

このため、外為市場参加者の間では様子見ムードが広がりそうだ。直近の支持率調査で民主党クリントン候補の共和党トランプ候補に対するリードが続いているが、クリントン氏の勝利を織り込んでドル買いが広がる可能性は低いとみられる。また、日本銀行の黒田総裁は27日の参院財政金融委員会で、「超長期の金利が現在よりも多少上昇してもおかしくはなく、直ちに引き下げに動く必要性もない」との考えを示した。米利上げで日米金利差の拡大が予想されているが、日本の長期金利が上昇した場合、金利差拡大を見込んだドル買いは抑制される可能性がある。

【日本銀行金融政策決定会合】(10月31日-11月1日開催)

前回(9月20-21日)の金融政策決定会合では、物価上昇2%を達成するため、物価上昇目標のため緩和拡大に向けた枠組みを変更し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入した。今回は追加措置を講じる必要はないとの見方が大半を占めており、金融政策の現状維持が賛成多数で決定される見込み。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(11月1-2日開催)

日本時間11月3日午前3時に金融政策と声明を発表する。金利据え置きは織り込み済みだが、声明文から12月利上げの手がかりを探ることになりそうだ。12月利上げの確証が得られず、来年の利上げペースの鈍化観測が浮上した場合、ドル売りが優勢となる可能性が高い。

【米10月雇用統計】(11月4日発表予定)

11月4日発表の10月雇用統計は、失業率4.9%(前回5.0%)、非農業部門雇用者数は前月比+16.9万人(同+15.6万人)、平均時給は前年比+2.6%(同+2.6%)と予想されている。雇用統計が予想を上回る内容だった場合、12月利上げ期待は高まり、ドル相場を下支えする要因となる。

予想レンジ:103円00銭-106円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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