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【経済】NYの視点:米FRB公定歩合議事録も年内の利上げを後押し


米連邦準備制度理事会(FRB)は9月20-21日の連邦公開市場委員会(FOMC)前に開催した9月の公定歩合会合の議事録を公表した。その中で、12地区連銀のうち9地区連銀が現行1%の公定歩合を0.25%引き上げ1.25%にするよう主張したことが明らかになった。7-8月の会合では8メンバー、その前の6月の会合では6メンバーが利上げを主張していた。

利上げの主張には、前回会合で利上げに投じたボストン、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、セントルイス、カンサスシティ、ダラス、サンフランシスコ連銀にアトランタ連銀が新たに加わった。NY、ミネアポリス、シカゴ連銀は据え置きに投じた。9月のFOMCではイエレンFRB議長、フィッシャー米FRB副議長や連邦準備制度理事会(FRB)理事などが利上げに反対し、政策を据え置いた。

公定歩合議事録によると、ほとんどの連銀総裁は技術職だけでなく、様々なセクターで米国の労働市場がひっ迫していることや、賃金圧力を認識。経済活動や労働市場が強まっており、インフレを中期的に2%に緩やかに上昇させると指摘した。公定歩合の引き上げを主張した地区連銀の数は昨年10月会合以降で最大。米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年12月、ほぼ10年ぶりの利上げに踏み切った。

利上げの主張はしばしば、その地区の連銀総裁が主要金利の変更を望んでいるかどうかの兆候を示唆する。公定歩合の引き上げに投じた9地区連銀の中では、セントルイス、カンサスシティ、クリーブランド、ボストンの総裁が2016年FOMCの投票権を有している。このため、11月のFOMCでもし政策金利の据え置きが決定した場合、4人が利上げを主張し反対票に投じる可能性も出てくる。同時に、12月の利上げの強いシグナルとなり得る。

多くの連邦準備制度理事会(FRB)関係者が講演などで12月の利上げの根拠が強まったとの見解を示しているが、公定歩合の議事録も年内の利上げを後押しする結果となった。

《FA》

 提供:フィスコ

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