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【市況】米国株式市場見通し:雇用統計が発表予定


先週は、イエレンFRB議長や複数の連銀総裁が講演を行い年内の追加利上げが改めて意識される展開となった。今週は月初に入ることから経済指標の発表が多数予定されているが、予想を上回る強い内容となれば年内利上げが現実味を帯び、相場にも強く反映されるだろう。また、翌週からの7-9月期決算発表シーズンを前に業績修正の発表が飛び出しやすい時期に入ることに留意する必要がある。

経済指標では、8月建設支出(3日)、9月ISM製造業景況指数(3日)、9月ADP雇用統計(5日)、9月ISM非製造業景況指数(5日)、8月製造業・耐久財受注指数(5日)、9月雇用統計(7日)などの発表が予定されている。最大の注目点である雇用統計は、失業率が4.9%増の横ばい、非農業部門雇用者数は17.1万人増が予想されている。3日には9月新車販売台数の発表が予定されているが、8月は3か月ぶりの前年割れとなるなど需要鈍化が示されており、フォード(F)やゼネラル・モーターズ(GM)などの自動車大手が下落したことから、注意が必要だ。

個別企業では、レストランチェーンのダーデン・レストランツ(4日)、半導体のマイクロン・テクノロジー(4日)、アルコール飲料のコンステレーション・ブランズ(5日)、種子メーカーのモンサント(5日)、ファストフードのヤム・ブランズ(5日)などの発表が予定されている。ヤムブランズは中国事業のスピンオフ計画の一環として、同事業の一部を中国電子商取引のアリババグループの金融子会社に売却したが、売却プロセスが順調に進んでいるか注目したい。

ドイツ銀行の株価急落は、住宅ローン担保証券の不正販売を巡って140億ドルの和解金を米司法省から求められたことをきっかけに、同社の財務不安が強まったことが主因だが、8年前に米証券大手のリーマン・ブラザーズが破綻した時と同様に、一部ヘッジファンドが資産の引き上げを行ったほか、ドイツ政府が選挙を控えて無用な批判を避けたいとの思惑から、公的資金の注入を否定したことも不安材料となった。同行は長らく不良債権に苦しんでいるものの、金融危機時と比べればレバレッッジを大幅に縮小しており、自己資本比率(Tier 1)は10.8%まで改善している。資本規制が強まる2019年には12.25%まで引き上げる必要があり、収益性の改善が長期的な課題だが、先週末の報道通り、54億ドルの支払いで米司法省との合意が可能ならば、同行への目先の懸念は大きく後退するだろう。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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