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【通貨】為替週間見通し:ドル・円はもみあいか、日米の金融政策を見極める展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル弱含み、米早期利上げ観測の後退や原油安などが意識される

先週のドル・円は弱含み。8月米小売売上高の減少を意識して、早期利上げ観測は再び後退したことが要因。原油先物の下落、米国株の上げ渋りを意識してリスク選好的なドル買いは抑制された。日本銀行による追加緩和(マイナス金利の深掘り観測)への思惑でドル買い・円売りが優勢となる場面もあったが、金融緩和策の有効性に対する懐疑的な見方が一部で浮上しており、日本の長期金利上昇に対する警戒感が消えていないことから、リスク選好的な円売りは拡大しなかった。

20-21日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利の据え置きが決定されるとの見方が一段と広がっているが、FOMCの金利・経済予測で2016年末以降の金利見通しが引き下げられるとの思惑が浮上したことも投機的なドル買い・円売りを抑制する一因となった。ただ、16日の取引ではユーロ、ポンドに対するドル買いが増えたことでドル・円はやや下げ渋り、102円27銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:101円42銭-103円36銭。

■ドル・円はもみあいか、日米の金融政策を見極める展開

今週のドル・円はもみあいか。20-21日開催の日本銀行金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点となる。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策の現状維持を決めることが市場コンセンサスとなっている。日本側では日銀による追加金融緩和の実施(マイナス金利の深掘り)が一部で予想されているが、今回は金融政策を変更せず、「総括的な検証」の結果を報告し、今後の方向性を提示するだけにとどまるとの見方もある。金融政策の現状維持が決まった場合、ドル売り・円買いが一時的に強まる可能性がある。

2%の物価目標を達成するための措置として、次回の金融政策決定会合で追加の金融緩和を行う可能性は高いとみられているが、マイナス金利の拡大は金融機関の業績悪化や利用者負担が重くなるなどのデメリットがあるとみられており、政府・日銀の思惑に反して株安・円高に振れる相場展開もあり得る。

米FOMC会合では利上げ見送りが決定される公算。8月米雇用統計やISM製造業業況指数などの経済指標は予想を下回っていることや、インフレ加速の兆しは現れていないことから、市場は12月利上げに傾いている。このため、9月利上げ見送りでドル安・円高に振れても、年内利上げ観測は大きく後退せず、リスク回避的なドル売りが広がる可能性は低いとみられる。

【日銀金融政策決定会合】(20-21日開催)
日本銀行は20-21日開催の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和策について総括的な検証を行う。今回の会合で追加金融緩和策が導入される可能性もあるが、決定は次回の政策決定会合に持ち越されるとの見方は少なくないようだ。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(20-21日開催)
米連邦準備制度理事会(FRB)は、20-21日開催のFOMCで金融政策の現状維持を決定する公算。日本時間22日午前3時に政策発表と声明を発表し、その後にイエレン議長が記者会見する。利上げ見送りはすでに市場に織り込まれており、12月の引き締め実施に関心が向かいつつある。

予想レンジ:100円00銭-104円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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