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【通貨】欧米為替見通し:ポンドは底堅い展開か、MPCに向け買い戻しも

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、ポンド・ドルの底堅い展開を予想したい。欧州連合(EU)離脱選択に伴う英国経済への懸念は継続しているが、今週開催の英中銀金融政策委員会(MPC)に向け、指標が堅調なら素直にポンドを買い戻す動きが見込まれる。米9月利上げ観測の後退もポンド買いの支援要因。また、ポンド・円が上昇した場合にはドル・円は連れ高する見通し。

英国のEU離脱選択に伴う実体経済への不安は解消されたわけではないが、9月に入ってからは8月製造業購買担当者景気指数(PMI)など予想を上回る堅調な経済指標が目立っており、ポンドは対ドルで底堅い値動きとなっている。前週は英中銀のカーニー総裁が議会証言で継続的な緩和スタンスの方針を示したことを受け、ポンドは利益確定売りが強まった。ただ、経済の下振れ圧力が弱まれば英中銀による利下げ観測は弱まるとの見方が根強く、ポンドの買い戻し意欲は強いようだ。

今日17時半発表の英・8月消費者物価指数と同生産者物価指数・産出が予想を上回る内容となれば、14-15日に開催されるMPCに向け、ポンド買いが再開する可能性はあるだろう。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)による9月利上げ観測の後退も、ポンド買いの支援材料となりそうだ。12日の米国市場では、注目されたブレイナードFRB理事が「金融緩和解除に際しては今後も慎重さを維持する必要がある」と発言。ハト派寄りの内容だったことで9月20-21日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定は見送られるとの見方が強まった。ブレイナード理事の発言を「欧州市場では完全に消化しきれておらず、ポンドがドルの受け皿となるだろう」(外為ディーラー)との見方から、目先は短期的なポンド買い・ドル売りに振れやすい。ただし、米利上げ観測の後退で米国株は目先も上昇が見込まれるほか、12月利上げへの警戒が続くため、ポンド・ドルの極端な上昇は想定しにくい。


【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・8月消費者物価指数(前年比予想:+0.7%、7月:+0.6%)
・17:30 英・8月生産者物価指数・産出(前年比予想:+1.0%、7月:+0.3%)
・18:00 独・9月ZEW景気期待指数(予想:2.5、8月:0.5)
・18:00 ドラギECB総裁が2016年「アルチーデ・デガスペリ」賞受賞
・02:00 米財務省30年債入札(120億ドル、リオープン)
・03:00 米・8月財政収支(予想:-1070億ドル、15年8月:-644億ドル)

《WA》

 提供:フィスコ

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