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【特集】KDDI Research Memo(9):中期的な成長を占う手掛かりとして付加価値ARPAの動向に注目

KDDI <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

(5) 2017年3月期会社計画

KDDI<9433>の中期目標初年度である2017年3月期は、売上高が同5.2%増の4兆7,000億円、営業利益は同6.3%増の8,850億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同9.1%増の5,400億円と増収、16期連続の営業増益を目指す会社計画となっている。

増収を見込むのは、au通信ARPA収入の増加、au経済圏の拡大による付加価値ARPA収入の増加に加えて、ジュピターショップチャンネルとモビコムの連結子会社化の寄与を見込むことによる。営業増益は、売上高増加に加えて、総務省ガイドラインを受けた販売手数料の抑制などがプラス寄与することによる。前提はパーソナルのau契約数3,924万(同100万増)、au通信ARPAは5,730円(同40円増)、付加価値ARPAは500円(同60円増)。設備投資は、au、UQの基地局やデータセンター投資など期ずれ分を含めて前期比で約300億円増加し5,600億円を見込んでいる。

a)パーソナルセグメント
売上高は同1.3%増の3兆5,500億円、営業利益は同5.1%増の6,900億円と増収・営業増益を予想している。タブレットやルーターなどを中心としたマルチデバイス化の推進に伴うau通信ARPA収入の拡大(前期5,690円→5,730円)などにより増収増益となる見通し。

b)バリューセグメント
売上高は同61.9%増の4,400億円、営業利益は同21.9%増の900億円と2ケタ増収・営業増益を見込んでいる。au WALLETによるさらなるau経済圏流通額拡大、パス系サービスの増収による付加価値ARPA収入の拡大(前期440円→500円)に加え、16年3月から連結したジュピターショップチャンネルの利益貢献などにより、増収増益となる見通し。

c)ビジネスセグメント
売上高は同0.5%増の6,350億円、営業利益は同2.5%増の630億円と増収・営業増益を予想している。音声定額プランによる減収幅が着実に縮小することに加え、KDDIまとめてオフィスの事業拡大がプラス寄与し、増収増益に転じる見通し。

d)グローバルセグメント
売上高は同5.3%増の3,100億円、営業利益は同5.8%増の340億円と増収・営業増益を予想している。前期と同様にミャンマー通信事業の拡大に加えてデータセンター事業の拡大が続くと見込まれるほか、2016年3月期から連結したモビコムが利益寄与すると見ていることがプラス寄与する。

弊社では、MVNOの台頭によるマイナス影響が主力のパーソナルセグメントで散見されるものの、1) auスマートバリューによる顧客の囲い込み、販売手数料の抑制などにより、安定成長が続く、2)ジュピターショップチャンネルやモビコムの子会社化(2016年3月)がプラス寄与するほか、新規M&Aの寄与を見込んでいない??などから会社計画は保守的と予想する。中期目標の達成可否を占う手掛かりとして、au経済圏拡大に伴うバリューセグメントの高成長が必要となるため、今後の付加価値ARPAの動向に注目する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

《HN》

 提供:フィスコ

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