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【通貨】為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、米指標下振れで利上げ先送りを織り込む展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル反落、米国株安を嫌ってリスク選好の円売り縮小

先週のドル・円は反落。浜田宏一内閣官房参与は「米FOMC前の追加緩和は避けるべき」との見解を表明したことでリスク選好的なドル買いは縮小し、ドル・円は104円台前半まで買われた後、一時101円21銭まで下落した。しかしながら、米新規失業保険申請件数の減少や日本銀行による追加緩和観測が再浮上したことから、投機筋などの円売りが活発となり、ドルは103円台前半まで反発する場面があった。

9日のニューヨーク市場では、米地区連銀総裁や連銀理事が早期利上げに前向きな見解を表明したことから、米国株式、債券、商品相場は揃って下落し、ドルが買われる展開となった。ドル・円の取引でもドル買いが優勢となったが、米国株の大幅下落を意識してリスク選好的なドル買いはやや弱まり、ドル・円は102円72銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:101円21銭-104円15銭。

■ドルは伸び悩みか、米指標下振れで利上げ先送りを織り込む展開

今週のドル・円は伸び悩みか。今週は米主要経済指標(8月小売売上高、8月生産者物価指数、8月鉱工業生産指数、8月消費者物価指数、9月ミシガン大学消費者態度指数など)の発表が予定されており、ドル・円の取引における有力な手がかり材料になる。個人消費の動向を示す8月小売売上高は前月比マイナスと予想されている。7月は横ばいだったことから、個人消費の停滞が懸念されている。8月小売売上高が市場予想を下回った場合、9月利上げの可能性は消滅するとの見方が多いようだ。

日本銀行による追加金融緩和への期待は残されているものの、マイナス金利の深堀りは金融機関の収益圧迫につながる懸念があることから、株式市場にも悪影響を及ぼす可能性がある。米国株式がさらに下落した場合、日銀による追加緩和期待は一層高まると予想されるが、ドル・円相場に対する強力な支援材料にはならないとみられる。

なお、原油先物が再上昇した場合、物価上昇期待がやや高まるとの見方があるが、主要経済指標で経済情勢の悪化が示された場合、9月利上げは極めて困難との見方は変わっていない。そのため、原油高がリスク選好的なドル買い・円売りを促す可能性はやや低いとみられる。

【米・8月小売売上高】(15日発表予定)
8月米小売売上高は、国内総生産(GDP)の過半数を占める個人消費の動向を示す指標として注目されている。4月には+1.3%とプラスに転じたが、その後は伸びが鈍化。7月は0.0%だったが、8月は前月比?0.1%と予想されている。市場予想と一致した場合はドル売り材料になる可能性がある。

【米・8月消費者物価コア指数(CPI)】(16日発表予定)
8月米消費者物価コア指数(CPI)は、政策変更に影響を与える物価関連指標として軽視できない。7月実績は前年比+2.2%、8月は同比+2.3%と予想されている。金融政策の判断材料となるコアPCEは2%を下回る状態が続いており、8月消費者物価コア指数が市場予想と一致しても9月利上げの可能性が高まることはないとみられる。

予想レンジ:101円00銭-104円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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