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【市況】国内株式市場見通し:日米金融政策を巡り様子見、中小型株物色に落ち着く

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は上昇。前週末の米雇用統計を受けた米株高、円安が材料視されるなか、17000円を回復して始まった。その後は、米国市場がレイバーデーの祝日のため海外勢のフローが限られていたほか、日経平均は3ヶ月ぶりに節目の17000円を回復したことによる目先的な達成感もあり、こう着感の強い相場展開に。また、米ISM非製造業景況指数が予想を下振れ、米国の早期利上げ観測が後退したことを背景に為替相場は円高に振れて推移するなか、利益確定の流れにも向かいやすい地合いとなった。

とはいえ、下値では日銀の指数連動型の上場投資信託(ETF)買入れに対して、規模や期間等から買い遅れ感が指摘されるなか、7日にはETFを733億円買い入れたと発表。これまでの1日あたりの買い入れ規模707億円から増額したほか、設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETFも12億円買い入れた。取得額の増加によって、より需給の下支え意識から売り込みづらくなり、日経平均はこう着感の強い相場展開になっている。

今週も引き続きこう着感の強い相場展開になりそうである。9日の米国株式相場はNYダウが400ドル近い下落となるなか、週初の日経平均は25日線辺りでの攻防を余儀なくされそうである。ボストン連銀総裁は利上げに前向きの姿勢を示したことが下落要因となったが、米国の利上げ時期に対する思惑から不安定な状況が続くなか、週初にはアトランタ連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁、ブレイナードFRB理事の講演が予定されている。利上げに対するタカ派発言も出やすいだろう。15日には米小売売上高、米生産者物価指数、米鉱工業生産などの経済指標の発表も予定されており、ここでも利上げを巡る思惑が高まりやすく、結果に振らされやすい相場展開になりやすい。結局のところは翌週、20日・21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは強弱感が対立しやすく、やや波乱含みの局面がありそうだ。利上げ観測の高まりはドル高・円安に向かわせようが、海外勢のポジション調整に伴う売り圧力が主力株を中心に上値の重しになりかねない。

また、国内についても日銀は20日・21日に異次元緩和の「総括的な検証」を実施する金融政策決定会合を予定している。期待感というよりは、イベント前で次第に様子見ムードが強まる可能性が高そうだ。その中で個人主体の売買は、足元で動意をみせてきている新興市場の中小型株にシフトしやすいだろう。先回り的な売買から買い疲れ感もあろうが、「東京ゲームショウ2016」開幕(15日から18日まで)を手掛かりとしたテーマ株物色に向かわせることになりそうだ。なお、昨年のゲームショウ2015での「大賞」は、「妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打」であり、ゲームデザイナーズ大賞には、「Ingress」が選出されていた。「Ingress」といえばポケモンGOを手掛けたNIANTIC社の位置ゲームである。今年はポケモンGOが大賞となる可能性が高く、AR/VR関連への支援材料になることだろう。

また、先週はフィンテック事業を手掛ける企業への投資が急増しているとの報道等もあり、フィンテック関連を見直す流れがみられていた。地方銀行の間では、銀行どうしが連携して取り組む動きが強まっている。フィンテック関連といえば、昨年末に急騰し、年前半にピークを付け、その後調整が長期化している銘柄が多い。個人主体の中小型株物色に向かうなか、出遅れ感の強いテーマ株として見直しの流れが強まる可能性がありそうだ。

その他、経済指標では12日に7月機械受注、8月企業物価指数、8月中古車販売台数、8月工作機械受注、13日には7-9月期法人企業景気予測調査など。海外では13日に独9月ZEW景況感指数、中8月工業生産・小売売上高・固定資産投資、14日に米8月輸入物価指数、英8月雇用統計、米4-6月経常収支、米8月小売売上高、米新規失業保険申請件数、米9月ニューヨーク連銀製造業業況指数、米8月鉱工業生産、英8月小売売上高、16日に米8月消費者物価指数、米9月ミシガン大消費者マインド指数が予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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