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2016年09月04日17時23分

【市況】【フィスコ・コラム】モンゴル新政権は通貨安に苦慮


モンゴルは大相撲の外国人力士を輩出する格闘技が盛んな国としてよく知られていますが、同国の経済についてはあまり情報がありません。人口300万人、国内総生産(GDP)1.3兆円規模の小さな国ながら、2010年代初頭は未曽有の高成長を遂げました。しかし、このところ金融市場でちらほら見かけるニュースから判断すると、結構深刻な事態に陥っていることがわかります。


モンゴル経済は、リーマンショックで大きなダメージを受けたものの資源高を背景に持ち直し、2011年には経済成長率は実に17.5%に達しました。当時モンゴルは銅、ウラン、石炭など豊富な資源により数年間でチリに次ぐ世界第2位の銅輸出国に成長するとの見通しから、2012年に初めて国債を発行。しかし、その後の資源価格の急落で同国経済は予想外の減速に見舞われ、2015年の成長率は2.3%にまで低下しています。来年から一部で始まる国債償還が今後大きな負担となって同国の財政を圧迫しそうです。


欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票による混乱の渦中にあった6月末、モンゴルでは最大野党モンゴル人民党が議会選挙(1院政76議席、任期4年)で地滑り的大勝利を収めたことに国内は沸き立っていました。国内経済を混乱に陥れた民主党はサイハンビレグ首相が落選するなど惨敗し、野党に転落。ただ、モンゴルは政権交代後2カ月が経過しても経済の混迷は深まるばかりで、足元では国際通貨基金(IMF)への支援要請や中国との通貨スワップ協定締結の可能性が取りざたされています。


モンゴル中央銀行が今年5月に政策金利を10.5%に引き下げたことを受け、通貨トゥグルグの下落基調が強まっています。同中銀は8月18日、今度は通貨防衛のため一転して政策金利を15%に引き上げたことでトゥグルグは対ドルでいったんは上昇したものの、経済の混乱が広がるとの見方から反落しました。翌19日には米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がモンゴルの格付けを「B」から「Bマイナス」に引き下げています。投資対象として「安定的」ではあるものの、財政赤字の深刻化が指摘されました。


通貨トゥグルグは5月末から2カ月間で20%程度下落し、足元では1ドル=2230トゥグルグ付近で推移していますが、下げ止まったようには見えません。一方、株式市場では株価指数「MSE20」が、なぜか堅調のようです。モンゴル証券取引市場には現在300社程度が上場していますが、時価総額が1000億円にも満たない小さな市場なので、足元の経済情勢を反映していないのかもしれません。1990年代に市場主義に移行したはずですが、あまり進捗していないようです


とはいえ、日本にとってモンゴルは重要な貿易相手国です。2012年に始まった経済連携協定(EPA)交渉はその後合意に達し、今年6月に発効しました。EPAで日本から輸出する新車などが無関税となるほか、モンゴルでの資源開発が加速すると期待されています。2014年12月には日本の商社などが、日本の石炭輸入量の30年分の埋蔵量とみられる炭鉱の優先交渉権を獲得。経済だけではありません。モンゴルは北朝鮮との国交があるため、日本政府は拉致問題での仲介役として期待しています。東アジアにおける日本の数少ない友人であるモンゴルの、今後の行方が気になります。

(吉池 威)

《MT》

 提供:フィスコ

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