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【特集】MRT Research Memo(8):同社グループと新サービスに対する医師、医療機関の認知度の向上が最優先

MRT <日足> 「株探」多機能チャートより

■中期的な成長戦略

MRT<6034>を取り巻く医療業界は、全世界的に見て、高齢化を背景に医療サービス市場(規模は520兆円程度)の成長が急速に進行している。日本においても2025年問題※1が取り沙汰されているように高齢化が進行中で、医療費の増大※2が顕著になっており、医療サービスにとどまらず、予防医療、ヘルスケア分野のニーズが急速に拡大しつつある。このため、政府の成長戦略においても医療サービスの充実化は、国家戦略の主軸として位置付けられている。

※1 2025年頃の日本で「団塊の世代」(1947年~1951年生まれ)の人々が75歳以上となることにより起こる諸問題のこと。25年には団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)となり、15歳~64歳の現役人口も減少するため、日本人の5人に1人近く(2,179万人、18.1%)が75歳以上となる超高齢社会となる。このため、25年頃には医療・介護・福祉サービスの需要が高まり、医療・介護などの負担と給付が大きく変わり社会保障財政の運営にネガティブな影響が出ると見られている。
※2厚生労働省の試算によると、2011年度38兆円であった医療費は2025年度に60兆円へ膨らむとしている。

同社は中期経営計画を公表していないため中期的な目標数値はない。しかし、中長期の成長戦略として、医師会員登録数及び医療機関登録数の増加に取り組むことを挙げている。さらに、1)医局向けサービスの拡充、2)地方へのビジネスの拡大、3)自社メディアの活用、4)サービスの多様化といった方針により同社グループ及びサービスの知名度、認知度の向上を図るとしている。

具体的には、大学医局向けのサービスを拡充することにより、大学附属病院を中心に、その関連の市中病院、開業医に至るまで医局単位での医師及び医療機関にアプローチを実施する、関東圏以外の拠点を設けることにより、地方の医師及び医療機関との距離を縮小する、などにより既存事業の拡大を図る。それをベースに、「ポケットドクター」、「歯科.com」、「血液検査サービス」などの新たなサービスを成長ドライバーに育成する戦略。ただし、医師、医療機関の新サービス「ポケットドクター」に対する認知度の向上が最優先事項で、2019年3月期までに利用する医師、医療機関数を増やすことを目標としている。

弊社では、新たなサービスは利用する医師、医療機関の獲得を最優先としているため、短期的に業績のプラス要因として働く可能性は低く、足元は中長期的な成長の基盤作りのステージと考える。今後、政府の成長戦略における医療サービスの充実は国家戦略の主軸となっていること、人口の高齢化に併せてヘルスケアニーズが急速に拡大することを考慮すると、同社のサービスに対する潜在需要は大きく、今後利用する医師、医療機関の増大に合わせて収益拡大に大きく寄与すると予想する。このため、「ポケットドクター」を始めとする新しいサービスを利用する医師、医療機関の動向を注目している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

《HN》

 提供:フィスコ

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