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【特集】サイバネット Research Memo(2):CAE専門会社として創業来一貫して日本のものづくりを支援

サイバネット <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社の概要・沿革

(1)会社の概要

サイバネットシステム<4312>は、CAEソフトウェアを中心とするソフトウェアの開発・販売に加えて、コンサルティング、技術支援などのサービスを提供するエンジニアリング系ITソリューションプロバイダー。自動車、機械、電機などの製造業を中心とする約2,000の企業、及び500の研究機関・大学のユーザーに対して世界的に実績がある10社以上の開発ベンダー及び同社ブループの開発ベンダーからの、50種類以上の多彩なCAEソフトウェアや情報セキュリティソフトウェア、可視化、ビッグデータ関連ソフトウェアなどを提供する。「私たちは高付加価値、高品質のサービスをもって、満足度の高い“ソリューション”を提供し、顧客と社会の発展に寄与する。」を企業理念として、「つくる情熱を、支える情熱。」をコーポレートメッセージに、30年以上にわたり研究開発、設計、製造をCAE技術で支え、日本のものづくりをサポートしてきた。足元、ユーザーと共に歩み、頼りにしてもらえる「First Contact Company」を目指し、最適なソリューションを提供するSI(Solution Integrator)として、事業を展開している。

(2)沿革

同社の歴史は古く、米国Control Data Corp.の日本法人である日本シーディーシー株式会社が1985年4月にリモート・コンピューティング・サービスを目的としてサイバーネットサービス事業を分離、独立させることにより設立された。1989年4月に神戸製鋼所<5406>が全発行済株式を取得し子会社化したが、神戸製鋼所の事業再構築(事業の選択と集中)の動きにより1999年10月に富士ソフトABC(株)(現:富士ソフト<9749>)へ売却し、富士ソフトの100%子会社となった。

主力商品の「MATLAB」(マットラブ)※1、「ANSYS」(アンシス)※2などCAEソフトウェアの利用の普及を背景に、業績は順調に拡大。2001年10月に日本証券業協会(現:東京証券取引所JASDAQ市場)に株式を登録したのに続き、2003年8月に東京証券取引所市場第2部へ上場、2004年9月には同市場第1部へ指定替えされた。

※1米The MathWorks, Inc.(以下、MathWorks)が開発している数値解析ソフトウェア。同社は2009年6月まで販売代理店契約を締結しており、同社の主力商品の1つであった。
※2米ANSYS, Inc.(以下、ANSYS)が開発している有限要素法CAEを中心とする解析ソフトウェア。

市場第1部上場後について見ると、国内においては2005年4月に(株)ケイ・ジー・ティー(高度な可視化技術とネットワーク関連のソフトウェアを保有)、同年8月に(株)プラメディア(プラスチックCAE事業を専業とする)を相次いで子会社化し、CAE事業の補完・増強を図る。さらに、2006年5月に(株)京浜アートワーク及び(株)EDAコネクトの営業の全部を譲り受け、エレクトロニクス分野の事業領域を拡大した。

一方、日系、外資製造業の中国進出が進むなか、CAEに関する技術力を活かし中国においても日本と同レベルの技術サービスが提供できる環境を用意するため、2004年12月に西希安工程模擬軟件(上海)有限公司を設立(2013年12月期に莎益博設計系統商貿(上海)有限公司に経営統合)し、CAEに関するコンサルティング、受託解析、教育等の技術サービスの提供を開始したほか、2006年8月に、EDAビジネス拡大戦略の一環としてEDAに特化した莎益博設計系統商貿(上海)有限公司(現:莎益博工程系統開発(上海)有限公司)を設立した。加えて、2008年7月には台湾での事業立ち上げを目的として台湾のタ思科技と合弁で光学系、電気・電子系を中心に制御系、数式処理系等のCAEソリューションサービスを展開する思渤科技股フン有限公司を設立した。さらに、2012年3月にCybernet Systems Korea Co., LTD.を設立(2015年6月にビジネス戦略見直しのため清算)、アジア地域の拠点設置、拡充に注力する。

「MATLAB」の販売代理店業務が開発ベンダーの日本法人へ移管された2009年7月以降については、中期経営計画「Phoenix21」の安定かつ継続的成長の実現を目指した強固な事業基盤を確立するという基本方針に基づき代理店ビジネスリスクの低減を図るために自社製品のウエイトを高める戦略に転換。2009年7月に米国Sigmetrix, L. L. C.(以下、Sigmetrix:公差※1解析ソフトの開発、販売、コンサルティングを行う)を子会社化したのに続き、2009年9月にはカナダWATERLOO MAPLE INC.(以下Maplesoft:対話的な数式処理ソフト(STEM※2コンピューティング・プラットフォーム)である「Maple」やシステムレベルモデリング・シミュレーションツールの「MapleSim」などを開発、販売する)を、さらに2010年7月にはベルギーNoesis Solutions NV(以下、Noesis:PIDOツール※3の開発、コンサルティングを行う)を100%子会社化した。

※1 公差:設計時に設定した寸法が持つことのできるばらつきの許容範囲。
※2 STEM: Science, Technology, Engineering, and Mathematics(科学、技術、工学、数学)という総合的な分野の総称。
※3 PIDO(ピド:Process Integration & Design Optimization)ツールは、CAD/CAEを活用した製品開発プロセスを自動化・統合化・最適化することで、品質向上、開発期間の短縮、開発コストの削減に貢献する全体最適化ソリューションツール。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

《HN》

 提供:フィスコ

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