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2016年08月29日15時09分

【特集】エネクス Research Memo(4):CPの下落やオートガス需要の落ち込みが売上高に影響

エネクス <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業セグメントの動向

(1)ホームライフ部門

伊藤忠エネクス<8133>の2017年3月期第1四半期のホームライフ部門の業績は、売上高20,136百万円(前年同期比14.9%減)、営業活動に係る利益646百万円(同10.6%増)となった。売上高の減収はCPの下落に加えてオートガス需要の落ち込みから販売数量が前年同期を若干下回ったことが影響したとみられる。一方営業活動に係る利益は原料費調整制度によって利幅が確保されたことで、前年同期比で増益となった。

ホームライフ部門の中核事業は、LPガスの販売だ。同社はLPガスを(株)ジャパンガスエナジー(同社が20%出資)から仕入れ、一般家庭向けに、子会社を通じて約35万世帯に販売しているほか、約1,900の販売代理店を通じて全国の約108万世帯に販売している。もう1つの重要な向け先としてオートガスがある。これはLPガスを燃料として走るタクシー向けのものだ。オートガス向け販売量は同社のLPガス販売量(2016年3月期実績で601千トン)の15%~20%程度を占めているもようで、需要先として重要な一角を担っている。

LPガスの指標価格は、最大輸出国であるサウジアラビアが提示するコントラクト・プライス(CP)だ。CPは同社を含めた日本のLPガス事業者にとっては原料費に当たるが、この変動は原料費調整制度で吸収され、一定の利幅が確保される仕組みとなっている。これがLPガス事業の収益構造上の最大の特徴と言える。すなわち、LPガス事業の売上高は単価と販売数量の2つに左右されるが、利益については利幅が一定であるため販売数量の影響により大きく左右されるということだ。

ホームライフ部門で注意を要するポイントに在庫影響額がある。CPの変動がLPガス在庫の評価額に影響を及ぼし、その結果LPガスの利幅を拡大・縮小させることになる。CPの推移を見ると、今第1四半期中は、4月末320ドル/トン、5月末325ドル/トン、6月末330ドル/トンと、3月末の290ドル/トンを上回って推移した。本来であればこれは営業活動に係る利益の押し上げ要因となるが、同期間中に円高が進行したため、CPの円換算値は伸び悩み、営業増益幅が、大きな上振れにつながらなかったものと弊社では推定している。

2017年3月期におけるホームライフ部門の重要な経営テーマとして、電力・ユーティリティ部門とのシナジー追求がある。具体的には、2016年4月からの電力小売の全面自由化に当たり、ホームライフ部門のLPガス販売子会社が、家庭向けに電力を販売するというものだ。先陣を切って、伊藤忠エネクスホームライフ関東(株)と(株)エコアが4月から電力販売を開始し、これまでのところは順調に契約を伸ばしてきているもようだ。今年8月以降、他のグループ会社も順次電力販売に参入し、2016年8月時点では全部で7社のグループ企業が電力販売を手掛けている状況だ。第2四半期以降の家庭向け電力販売の契約件数の伸びが注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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