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【特集】サムティ Research Memo(6):流動比率は高い水準を維持しており財務の健全性に懸念はない

サムティ <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

(2)2016年11月期第2四半期決算の概要

サムティ<3244>の2016年11月期第2四半期累計の業績は、売上高が前年同期比1.9%増の21,311百万円、営業利益が同18.0%減の3,394百万円、経常利益が同21.5%減の2,373百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同33.9%減の1,742百万円と増収減益となった。前期における一時的な特殊要因※の剥落等がマイナス要因となったが計画どおりの進捗とみられる。

※同社が保有する「水戸サウスタワー」において、キーテナントであったヤマダ電機<9831>からの賃貸契約解除(2015年7月末付け)の申し入れに伴い、前期(2015年11月期)決算において違約金収入約1,700百万円を売上計上したもの

不動産事業がSRR向けに「S-RESIDENCE」シリーズ2棟を販売(開発流動化)したことにより大きく伸長したが、不動産賃貸事業が特殊要因の剥落等によりマイナスとなったことから全体としては緩やかな増収にとどまった。

損益面では、利益率の高い開発流動化の伸長などがプラス要因となったものの、特殊要因の剥落や販管費の拡大(人件費や販売費、東証1部上場関連費用等)により営業減益となった。また、予定していなかった固定資産売却益(200百万円)を特別利益に計上した。

一方、仕入れの状況については、開発用地12物件(売上規模21,500百万円相当)、たな卸物件(収益不動産)8物件を取得した。ただ、通期計画に対して開発用地は順調に進捗しているものの、収益不動産の取得についてはやや遅れがみられる。

財政状態は、仕掛及び販売用不動産の順調な積み上げにより総資産が131,712百万円(前期末比8.2%増)に拡大した一方、自己資本は内部留保の積み増しや新株予約権付社債の転換等により29,700百万円(同5.6%増)になった結果、自己資本比率は22.5%(前期末は23.1%)に若干低下した。また、有利子負債残高も89,611百万円(前期末比12.6%増)に増加したが、流動比率は294.7%の高い水準を確保しており、財務の健全性に懸念はない。

各事業別の業績は以下のとおりである。

a)不動産事業は、売上高が前年同期比14.0%増の17,112百万円、セグメント利益が同104.4%増の2,978百万円と好調であった。特に、開発流動化が「S-RESIDENCE」シリーズ2棟をSRR向けに販売したことで増収に寄与した(前年同期は実績なし)。投資分譲についても9棟260戸(前年同期は4棟178戸)の販売により順調に拡大した。また、アセットマネジメントもSRRからの受託資産の増加により着実に伸びている。ただ、再生流動化については8物件を事業会社等に売却したものの、東証J-REIT市場への上場に向けて10物件を供給した前年同期に対しては反動減となった。

一方、損益面では、利益率の高い開発流動化や投資分譲が伸長したことに加え、増収による固定費の吸収によりセグメント利益率は17.4%(前年同期は9.7%)に上昇した。

b)不動産賃貸事業は、売上高が前年同期比35.8%減の3,590百万円、セグメント利益が同60.0%減の1,353百万円となった。違約金収入の剥落に加えて、キーテナント入れ替えに伴う不稼働期間(約7カ月間)の発生がマイナス要因となった。ただ、稼働率は総じて高い水準を維持しており、特殊要因を除けば好調に推移していると言える。また、固定資産として、新たに9物件(取得価額5,089百万円)の収益不動産を取得した一方、前述のとおり、3物件を売却した(特別利益200百万円)。売却については予定外であったが、好条件の引き合いがあったことにより売却に踏み切ったものとみられる。

損益面でも、特殊要因の剥落等によりセグメント利益率が37.7%(前期同期は60.5%)に低下したが、実質的な利益率の高さに変化はない。

c)その他の事業は、売上高が前年同期比69.9%増の809百万円、セグメント利益が同12.0%減の78百万円となった。前期に取得したホテル2物件(エスペリアホテル長崎、ホテルサンシャイン宇都宮)が期初から寄与したことが増収に寄与した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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