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【通貨】為替週間見通し:ドル・円の上値はやや重いままか、米利上げ時期を見極める展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル軟調地合い、米早期利上げへの思惑後退で一時99円54銭

先週のドル・円は軟調推移。米早期利上げ観測が後退し、短期筋などのドル売りが優勢となった。日本銀行による金融緩和策の有効性に対する懐疑的な見方が浮上したことや、7月の米消費者物価コア指数が予想を下回ったことから、16日のNY市場でドルは一時99円54銭まで下落した。NY連銀のダドリー総裁が9月利上げの可能性はあり得ると発言し、ドルは100円台に戻したが、17日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(7月26-27日開催分)内容を受けて早期利上げ観測は再び後退し、ドルは18日の東京市場で99円65銭まで反落した。

ただ、日本銀行による9月追加緩和への期待は持続しており、週末前には米国の早期利上げへの思惑が再浮上したことから、ドルは100円台半ばまで戻し、100円23銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:99円54銭-101円45銭。

■ドル・円の上値はやや重いままか、米利上げ時期を見極める展開

今週はドルの上値はやや重いままとなりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ時期をめぐり、26日に予定されるイエレン議長の講演や4-6月期米国内総生産(GDP)改定値が注目される。連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの間でも見解の違いがみられることから、ドル・円相場が一方向に大きく動く可能性は低いとみられる。

6月と7月の米非農業部雇用者数は予想を大きく上回っており、早ければ9月に利上げが決定されるとの期待が高まったが、その後発表された7月消費者物価指数や7月小売売上高などは低調な内容だった。早期利上げ期待は大きく後退し、ドル売りがやや優勢となっている。4-6月期GDP改定値が下方修正された場合、年内利上げ観測は後退し、ドルの上値はさらに重くなりそうだ。

今週最大の注目イベントはジャクソン・ホールで行われるイエレン議長の講演か。7月26-27日に開催されたFOMCでは雇用の伸びなどに関して意見が分かれており、議事録は総論的にはややハト派寄りの内容であると市場は受け止めた。利上げについてやや前向きなスタンスを示してきたイエレンFRB議長が、講演でハト派的な発言をすれば、早期利上げ観測は大幅に後退し、ドル売り材料となりそうだ。一方、主要国の株価は引き続きドルの値動きに影響を与える見通し。特に米国株が底堅い動きを続けた場合、ドルのサポート要因となりそうだ。

予想レンジ:98円00銭-102円00銭

【カンザスシティ地区連銀主催の経済シンポジウム】(25-27日開催予定)

カンザスシティ連銀主催の恒例イベントで今年のテーマは「Designing Resilient Monetary Policy Frameworks for the Future」将来に備えて弾力性のある金融政策の枠組みをどのように設計するのか、あるいは金融政策のあり方について議論される見込み。26日に予定されるイエレンFRB議長による講演に対する関心が相対的に高い。イエレンFRB議長以外の金融当局者や米国以外の金融当局者の講演も行われるもようであり、金融政策や経済などについての見解を確認できる良い機会となる。米国の利上げ時期や諸外国の金融政策についての見解は主要通貨の値動きに大きな影響を与える可能性がある。

【米・4-6月期国内総生産(GDP)改定値】(26日発表予定)

4-6月期米国内総生産(GDP)改定値は前期比年率+1.2%から+1.1%への下方修正が予想されている。最近発表された米経済指標は予想を下振れるものがやや多いことから、GDP改定値が下方修正された場合、年内利上げ観測は後退し、ドルの上値は重くなりそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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