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【経済】NYの視点:ポンド売り持ち過去最大、BREXITの英国経済への影響さぐる


今週の英国では、国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定したのち初めてのインフレ率や小売売上高の発表が予定されている。英国のEU離脱問題に関しては経済に与える影響など、依然不透明感が強い。英国のEU離脱は英国がEUに対してEU基本条約(リスボン条約)第50条を発動しない限り、交渉も開始されない。今週末付のThe Times紙は、英国のEU離脱が2019年末まで先送りされる可能性があると報じた。当初の予定から1年ほど先送りされることになる。

不透明感が強い中、今週発表される英国の消費者物価指数(CPI)や小売売上高で英国の欧州連合(EU)離脱の影響が反映されるとの思惑も強く、追加緩和を織り込むポンド売りが加速した。7月消費者物価指数(CPI)は予想前月比‐0.1%と、1月来のマイナスに落ち込むと見られている。一方、7月の小売売上高(除く自動車燃料)は前月比+0.3%と、6月‐0.9%からプラスに改善し、消費の底堅さを示すとの予想。6月のILO失業率(3ヶ月)は4.9%と、5月と同水準にとどまる見込み。

英国中央銀行(BOE)が4日の金融政策決定会合で利下げの実施に加えて量的緩和(QE)の拡大を発表するなど、予想以上に積極的な緩和を発表したため、ポンド売りが加速。英国中央銀行が毎日一日の終わりに発表するポンドの指数、ERI(ExchangeRate Index)は2010年3月来の最安値を更新した。ERIは英国の物やサービスの貿易をベースに算出されており、英国中銀が好んで使用している。

アナリストや投資家の多くは、ポンドの下落が今後も継続すると見ている。商品先物取引委員会(CFTC)が発表した最新の調査では、投資家、投機家のポンド売り持ちポジションは1992年の調査開始以降で最大に膨れ上がった。モルガンスタンレーは顧客向けレポートの中で、ポンド・ドルが9月末までに1.26ドルまで下落するとの予測を発表。ゴールドマンサックスや英HSBC銀は年内に1.20ドルに達すると見ている。HSBCは17年末までに1.10ドルまで下落すると見ているようだ。市場は大きくポンド売りに傾いているものの、ポンドの下落基調を転換させる理由は現在、見当たらない。

《NO》

 提供:フィスコ

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