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【通貨】為替週間見通し:ドル・円はもみあいか、年内利上げの有無を見極める展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル伸び悩み、米小売売上高横ばいで利上げ期待後退

先週のドル・円は伸び悩み。4-6月期米非農業部門労働生産性は予想に反して低下したことや、7月米小売売上高は前月比で横ばいとなったことから、早期利上げ観測は大幅に後退し、ドルは一時100円台後半まで下落した。

米労働市場の拡大を受けてドルは週前半に102円台後半まで買われたが、9日発表の4-6月期米非農業部門労働生産性は予想に反して低下し、9月利上げの可能性は大幅に低下した。米長期金利は低下し、リスク選好的なドル買いは後退した。原油先物の反発を好感してドルは一時102円台前半まで戻したが、12日発表の7月米小売売上高は前月比0.0%で市場予想を下回った。この結果を受けて年内利上げの可能性はやや低下し、ドルは100円83銭まで反落し、101円28銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:100円83銭-102円66銭。

■ドル・円はもみあいか、年内利上げの有無を見極める展開

今週のドル・円はもみあいか。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ時期を巡って、市場参加者の思惑が交錯する展開となりそうだ。17日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録内容(7月26-27日開催分)が注目される。この時は市場の予想通り、利上げは見送られた。

その後発表された7月雇用統計は堅調な内容となり、年内利上げ観測が再燃したが、4-6月期の米非農業部門労働生産性が3四半期連続で低下(マイナスを記録)したことから、早期利上げ観測は大幅に後退。10年債利回りの低下を背景にドル売りが強まった。年内の引き締めについて市場はなお懐疑的であり、7月時点でのFOMCでの利上げの感触を探ることになろう。

ただ、原油高や株高がリスク選好的な円売り・ドル買いを促す展開も想定しておきたい。サウジアラビアのエネルギー産業鉱物資源相は11日、9月下旬に石油輸出国機構(OPEC)非公式会合で、市場安定に必要な措置について協議すると発言した。原油高が続いた場合、米国株は堅調に推移し、リスク選好的なドル買い・円売りを促す可能性がある。

【日・4-6月期国内総生産(GDP)一次速報値】(15日発表予定)
個人消費や企業設備投資は力強さを欠いており、1-3月期との比較で成長率はやや鈍化し、1%未満となる可能性が高い。1-3月期の個人消費は「うるう年効果」やや押し上げられており、4-6月期は反動減が想定されている。ただし、成長率鈍化は織り込み済み。市場予想を下回った場合、日本銀行による9月追加緩和が想起されることから、円売り材料になる。

【7月米消費者物価コア指数】(16日発表予定)
7月米消費者物価コア指数(コアCPI)は前月比+0.2%と予想されており、上昇率は6月実績と同水準になる見込み。前年比は+2.3%と予想されている。米年内利上げに懐疑的な見方は残されており、インフレ関連指標が悪化した場合、ドル売り材料となりやすい。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録】(17日公表予定)
7月26-27日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り利上げは見送られた。声明では、欧州連合(EU)離脱に伴う英国の経済情勢に関する懸念が示された。雇用については、5月は低調だったものの6月は強かったとの認識だった。年内利上げに向けた議論の内容が注目される。

《FA》

 提供:フィスコ

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