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【経済】NYの視点:米労働市場のたるみも改善へ=米7月LMCI


米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した7月労働市場情勢指数(LMCI)は6月から改善し、1.0ポイント上昇となった。予想の横ばいを上回り7カ月ぶり、年初来初めての上昇となった。6月分も1.9ポイントの低下から0.1ポイントの低下へ上方修正された。同指数は、失業率、民間の雇用、JOLTや賃金を含んだ19の雇用関連指標から構成される。

年初から低下が目立ったが、過去2ヶ月間のLMCIの安定は4?6月期の低調な雇用が異例であったことの証明になると指摘されている。米労働省が先週、5日に発表した7月雇用統計でも非農業部門雇用者数が25.5万人増と、6月の29.2万人増に続き予想外に2ヶ月連続で20万人以上の伸びを記録。ただ、過去2ヶ月の強い雇用は前回、4月、5月の低調な雇用の反動に過ぎず今後も20万人ペースでの雇用が持続すると見るエコノミストは少ない。4月の雇用は14.4万人増、5月はわずか2.4万人増にとどまった。

また、民間コンファレンスボードが発表した7月の雇用トレンドインデックス(ETI)は128.28と、6月の127.89から上昇。コンファレンスボードのチーフエコノミストはETIの改善にもかかわらず、「雇用の伸びが今後鈍化する兆候が示されている」との見方。現状の低い成長に比べて雇用がかなり強く驚きだとし、経済がおそらく1.2%成長より強い可能性があると指摘した。

ETIは8つの項目から構成されている。1.消費者信頼感指数に使用する世論調査の中で、「仕事を見つけるのが困難」との答えの割合、2.失業保険申請件数、3.企業が募集しているポジションが埋まっていない割合(全米独立企業連盟NFIB ResearchFoundation)4.テンプ雇用斡旋会社の登録人数、5.パートタイム労働者の中でフルタイムの職を探している人の割合、6.鉱工業生産、7求人、8.実質製造、貿易の売り上げ。

実際、アトランタ連銀は7?9月期国内総生産(GDP)が3.8%成長と、4?6月期から大幅に改善すると見ている。同連銀の見通しはその正確性に定評があり、度々市場で注目される。雇用と経済の成長がミスマッチで、今後の指標で状況をさらに確認していく必要がある。

持ち直した米雇用関連指標にもかかわらず米連邦準備制度理事会(FRB)が9月連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを実施することを確証する内容ではない。ただ、年内の利上げ見通しはいくらか改善しドルの上昇を支援した。米労働省が10日に発表するJOLT求人指数でさらに現状の労働市場のたるみをさらに検証していくことになる。

《NO》

 提供:フィスコ

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