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【経済】一尾仁司の「虎視眈々」:◆「安倍首相の安全運転」◆

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

●内外情勢見極めへ、安倍首相の安全運転●


「石垣なき内閣」(辻元清美 民進党議員)と言われる再改造内閣が発足した。谷垣前幹事長のケガと言うイレギュラーがあり、石破前地方創生相には、「都知事選で増田氏に立候補見送りを求めた」という噂が駆け巡り、野党が言うほど頑丈な石垣だった訳ではないので、安倍政権の改造に伴う揺らぎ少ないと思われる。

むしろ、高村副総裁以下、枠組みを変えなかった方が注目されている。振り返れば、衆参ダブル選を見送り、都知事選中に休暇を取って距離を置いた流れから、今までになく「安全運転」志向が指摘されている。典型的なのは、石原再生相の留任。都知事選敗北の責が菅官房長官や茂木政調会長(当時は選対委員長)に波及するのを回避するためと言われている。TPPなどが止まった状況で、再生相は軽いポストになっており、経済対策の焦点は一億総活躍・働き方改革相などに移っている。

また、岸田外相の留任は日米関係に配慮したためと見られている。独自外交を主張する人を登用するタイミングではなく、実績を積んできた安定感を優先させる姿勢。7月25日、8月下旬の安倍首相イラン訪問が見送りになったと報じられた。組閣構想真っ只中で流れたニュースは、米大統領選でトランプ候補がオバマ大統領のイラン寄りを厳しく批判しており、論争に巻き込まれるのを避けるため、とされた。下旬の「第6回アフリカ開発会議」には参加予定。また、稲田防衛相での摩擦を抑えるためにも安定感が必要との見方がある。岸田氏にとっては本末転倒的な見方だが。

この頃、一時トランプ氏がクリントン氏を支持率で逆転した。結果、安倍政権はトランプ対策を推進しつつ、オバマ政権(クリントン支持体制)との連携強化に動いているように見える。皮肉にも、トランプ氏は兵士侮辱発言で支持率急低下、共和党からの離反(大口献金者のHPのホイットマンCEOや現職議員がクリントン氏に投票すると相次ぎ表明)で、このまま決着がついてしまう可能性も出てきている。

喜んだのはロシア。経済協力8プロジェクトの実質的な推進者の世耕氏が経産相に就任したためだ。年内衆院解散を諦めていないとされる安倍首相がポイントを稼げる数少ないポイントが対ロシア外交との見方を強めた。同様に、年内解散なら、それまでのつなぎ的内閣改造になる。枠組みが大きく変わらず、二階幹事長、下村幹事長代理がともに選挙重視(党員拡大など)に言及している点からも、解散説は燻ろう。

経済的には「財政出動」に舵を切っており、その余波が債券相場の世界的揺れ(G7で財政出動重視を打ち出したにも拘わらず、英国EU離脱などで世界的低金利化が大幅に進んだ。日銀の伝統的な金利格差政策が効かず、限界説に発展。行き過ぎた低金利化の揺り戻しが直近で起こる目まぐるしい展開)に繋がっていると思われる。仕掛け的な円高攻勢を凌ぎながら(昨日は波状的な攻撃でもドル円100円台を維持した。米雇用統計待ちに移行)の政策運営を余儀なくされている。市場は企業業績に効果をもたらす経済対策の具体化に関心を強めることになろう。



以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/8/4号)

《WA》

 提供:フィスコ

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