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【経済】三井智映子と始める資産運用入門6:NISA


こんにちは、フィスコリサーチレポーター三井智映子です。皆さんと一緒に資産運用について考える連載「三井智映子と始める資産運用入門」です。今回はNISAについてお伝えしていきたいと思います。

■NISAは商品の名前じゃない
NISA(ニーサ)。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。証券会社のWebサイトを見ると、どこかに必ずこのアルファベット4つの文字を見つけることができますよね。でも、NISAは投資商品の名前ではありません。
NISAとは、「少額投資非課税制度」のことです。つまり、株や投資信託(投信)などの運用益や配当金に伴う税金について、一定額の範囲で非課税にする制度なのです。
通常、株式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金、分配金には20.315%の税金がかかります。これを非課税にしましょう、というのがNISAなのです。
イギリスのISA(個人貯蓄口座=Individual Savings Account)制度を参考にしていることから日本版ISAという意味あいで、NipponのNを頭文字につけたこの名前がついています。

■NISA口座での取引が対象
ただ、この制度の恩恵を受けるためには、一定の手続きが必要です。といってもさほど難しいことではなく、投資取引をする証券会社にNISA口座を開設すること、そして、そのNISA口座の中で取引をすることが、基本的な流れとなります。口座を開設する年の1月1日において20歳以上の日本国内居住者なら誰でも開設できます。
証券会社でNISA口座を開設するのは意外と簡単で3ステップです。
1.証券会社の口座を開く
2.NISA口座の申請書を提出する
3.本人確認のため住民票の写し、マイナンバーを提出する
すると国税庁へNISA口座の非課税適用の申請がなされ、税務署がNISA口座に重複がないかを確認して、問題がなければ開設となります。
通常の口座開設と異なり、NISAの口座開設には2~4週間と長めの期間がかかることに注意が必要です。

■どの証券会社でNISA口座を開設するかがポイント
ただし、ここで注意をしなくてはならないのが、NISAは一人一口座しか開設できない、ということです。後から口座の変更はできますが、1年単位での変更となります。つまり、どの証券会社でNISA口座を開くか、慎重に選ぶ必要があるわけです。
サポートのしっかりしているところ、手数料の安いところ、取り扱う投資信託商品が豊富なところ、などをチェック項目にして、安心できる証券会社を調べてみるといいと思います。
ちなみに多くのネット証券会社はNISA口座での日本株の売買手数料を無料に設定していますが、新規上場銘柄(IPO銘柄)には適用されなかったり、買い付け時のみ無料だったりといった証券会社もあるので注意してください。また商品の豊富さという点では、この連載で何度もご紹介している2015年オリコン日本顧客満足度ランキングの「取扱商品」部門が参考になります。第1位はSBI証券、第2位野村證券、第3位マネックス証券です。そして、NISA口座数が最も多い証券会社はSBI証券、第2位は楽天証券、第3位はマネックス証券(2015年)となっています。

■NISAを使った投資のポイントは
NISA制度で非課税の対象となる金融商品は、上場株式と公募株式投資信託です。2014年から制度が始まり、2016年1月から年間の非課税枠が100万円から120万円に増えました。投資金額120万円までの株式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金(分配金)が非課税となるわけです。
現在のところ2023年まで毎年新たに120万円の非課税枠が追加されることになっていて、非課税の期間は最大5年間となっています。
注意が必要なのは損益通算ができないことです。つまり、NISA口座で複数の銘柄を取引していても、損が出た部分は考慮されず、利益が出た部分についてのみ非課税が適用されるということです。
また、NISAは資産の売却後、その売却した分の非課税枠はもう使えません。例えば120万円の非課税枠のうちで20万円の株式を購入して売却した場合、残りの100万円分しかもう非課税枠がなく、すでに利用した20万円の非課税枠を再利用することができないという仕組みです。そのため、長く非課税という恩恵を受けるためには、配当性向が高い銘柄や、長期保有に適した銘柄に投資するのが良いとされています。短期で繰り返し売買をすると、一瞬で非課税枠を使い切ってしまうことにもなりかねません。
また、投資を行わなかった非課税枠の翌年繰り越しはできないことにも気をつけましょう。
以上のことから、NISAでの取引には、株式で言えば配当金や売買益、また優待も期待できるような、安定的な銘柄が適していると言われています。また、1万円から1円単位での購入が可能な投資信託にNISA口座を活用するのも人気があるようです。
20.315%もの税金が非課税になる大事な枠ですので、できれば限度いっぱいの5年間持てるような銘柄を選んで、配当を非課税で得たいですね。


「三井智映子と始める資産運用入門」は資産運用の基礎を三井智映子の見解でコメントしています。

フィスコリサーチレポーター 三井智映子

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 提供:フィスコ

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