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【経済】中国:エコカーの自家用比率3割超に、公共車上回るピッチで増加


中国のエコカー市場で、自家用車(マイカー)比率が急速に高まっている。ナンバープレート発給制限による自動車総量規制が敷かれた大都市などで、規制対象外のエコカーに対する需要が加速度的に高まってきた。マイカー市場のエコカー普及ピッチは、公共車両をすでに超えている。2013~15年のエコカー累計販売台数に占めるマイカー比率は36%へと拡大。15年4月単月では61%に上昇して、公共車両を上回っている。社会科学文献出版社、中国汽車技術研究センターなどが共同発表した「新エネルギー白書:中国新エネルギー車産業発展報告(2016)」の内容として、新民晩報が2日付で伝えた。
2013~15年に販売されたマイカー向けエコカーは、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)が「1.5:1」の比率。マイカー向けエコカー普及の都市別貢献度は、上海が26%で最大だった。以下、北京(14%)、深セン(8%)が続き、3都市の合計は48%と5割に迫った。同3都市はいずれも自動車購入規制を導入している。
リポートではこのほか、中国エコカー市場の消費者構造が「中所得」以下の収入層で高い比率を占める実態が報告された。これは高学歴・高収入層を主力とする米国とは異なる。中国では、家庭で1台目「ファーストカー」としてエコカーを購入する「必須性の購入需要」(剛性需要)が市場成長の原動力となっている点が示された。
さらに購入車種ごとに消費者所得水準に開きがある特徴も示された。北京市で行った調査では、米テスラ製のEVや、独ダイムラーとBYDが共同開発したEV「DENZA」の購入家庭で所得レベルが高い一方、北京汽車「E150」「EV200」や江淮汽車「iEV」の購入家庭で所得が低い傾向にある実態が明らかになった。テスラ車では購入家庭の62%、「DENZA」車では同29%が年間所得40万人民元(約610万円)以上だったの対し、「E150」「EV200」「iEV」の3車種は、購入家庭の各20%で世帯収入が10万人民元以下。合計60%の世帯所得が20万人民元を下回っていた。後者3車種は価格が相対的に安く、「大衆向けEV」としての色合いが強い。
同リポートによると、中国の「新エネルギー車」(EVとPHV)累計販売台数は2015年末時点で49万7000台に到達。50万台の目標をほぼ達成し、世界最大の新エネ車保有国へと成長した。20年の市場規模は145万台に膨らみ、そのうちマイカー市場で80万台と過半を超える見込みだ。駐車料金や高速料金など交通制度面での各種優待制度が追い風。マイカー市場でのエコカー普及を後押ししていくとみられる。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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