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【特集】サンコーテクノ Research Memo(2):建設需要は官需が民需のプラス幅を完全に打ち消す

サンコテクノ <日足> 「株探」多機能チャートより

■オリンピック後を見据えた成長への取り組み

(1)同社を取り巻く環境

サンコーテクノ<3435>の主力製品は“あと施工アンカー”と呼ばれる建設用材料で、コンクリート構造物に設備等を取り付ける際に用いられる。一般に知られた釘やネジは、木材にモノを固定する場合に使われるが、コンクリートには使えない。コンクリートにおいて釘やネジの代わりに使用されるものと考えればわかりやすいだろう。モノを“留める”ということで“建設用ファスナー”や“ファスニング材”と称されることもあり、それが同社の事業セグメントの名称につながっている。

以上のような製品の特性から、あと施工アンカーは、主としてマンションやオフィスビルなどの建築物において利用されることが多い。典型的な例は、コンクリート製の壁面や床、天井などにエアコン室外機や照明器具、看板などの設置が挙げられる。同社はあと施工アンカー市場でトップシェアを誇り、特に、金属系アンカーでは約45%のシェアを有している。したがって、同社のファスニング事業の業況は、日本全体の建設需要と密接な関連があるとの推測が成り立つ。

国内の建設需要は、東京オリンピックに向けたインフラ整備や都市再開発、あるいは震災復興や防災に関連した国土強靭化政策などの、“追い風”状況にある。しかし、建設市場が右肩上がりで伸びるかというと決してそうではない。工事現場での人手不足がボトルネックとなっていることや、建設需要はその強弱感が地域によってバラツキがあるためだ。建築着工統計においても、2015年度の建築着工床面積は前期比0.9%減少の129,604千平方メートルにとどまった。建設主別で見た「公共」、すなわち官需が前期比21.9%減少し、民需のプラス幅を完全に打ち消した形だ。

同社は将来的にも、2015年にみられたような、建設市場の中のセグメント間や地域間でバラツキがあり、市場全体としては横ばい圏から微減で推移するという状況が継続すると想定している。そしてその前提に立って、今後取り組むべき課題として3点を挙げている。その中で特に重要なものは、国内市場を対象とした「維持・保全市場(建築・土木)への新製品・工法の投入」と「既存製品の用途拡大と高付加価値化」の2点だと弊社では考えている。同社は2016年3月期からこの課題への取り組みを開始した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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