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【特集】神戸物産 Research Memo(1):シンガポールで業務スーパーの海外1号店を出店、今後の海外展開に要注目

神戸物産 <日足> 「株探」多機能チャートより

神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売に至るまで製販一体の六次産業企業として国内トップ企業である。食品スーパーである「業務スーパー」をFC展開するほか、外食事業や再生可能エネルギー事業へと展開。店舗での徹底的な「ローコストオペレーション」とオリジナル商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力をベースに、ベストプライスで商品を提供し続けることにより顧客を獲得し、成長を続けている。

2016年10月期第2四半期累計(2015年11月?2016年4月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.8%増の119,014百万円、営業利益が同61.4%増の5,030百万円と増収増益となった。主力の業務スーパー事業がけん引役で、既存店売上高が前年同期比4.8%増と堅調に推移したほか、店舗数の増加や自社商品の開発強化、円高による仕入れコスト減効果などが収益拡大要因となった。ただ、4月末の為替が円高に振れたことで為替差損やデリバティブ評価差損等が発生し、経常利益は同39.3%減の2,868百万円となった。

2016年10月期の業績は売上高で前期比5.7%増の241,600百万円、営業利益で同36.7%増の9,300百万円、経常利益で同28.0%減の6,100百万円を見込む。業務スーパーの店舗数は前期末比25店舗増を計画しているが、4月末までに純増数で17店舗となっており、上乗せ余地はあるとみられる。また、既存店ベースの増収率は1?2%増、輸入商品の仕入れにかかる為替前提レートは120円/ドルと期初計画を変えておらず、足元の状況からすれば営業利益段階までは会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。一方、営業外では期末レート105円/ドルを前提に下期も8?9億円程度の為替関連の評価損を見込んでいる。1円/ドルの円高で約1億円の減益要因となる計算で、今後の為替動向には留意する必要がある。ただ、基本的に円高は仕入れコストの低減につながるため、本業ベースではプラスとなる。

なお、同社は2016年4月にシンガポールで業務スーパーの海外1号店をFC出店したほか、米国でも現地日系スーパー内にて業務スーパーのオリジナル商品の販売を開始するなど、海外展開をスタートさせている。販売状況を見極めながら店舗数を拡大していく計画で、今後の動向が注目される。

株主還元策として、同社は経営成績に応じた利益配分を行うことを基本方針としており、2016年10月期の期末配当は前期比実質横ばいの40.0円を予定している。また、株主優待制度として10月末の株主に対して、保有株数に応じて自社グループ商品の贈呈を行っている(100株で3,000円相当)。

■Check Point
・2014年より輸入食品や各地の名産品を取り扱う新業態店舗「ガレオン」の展開を始める
・営業利益は業務スーパーの好調により期初計画を上回る見通し
・「業務スーパー」の成長加速や新業態の確立、新たなM&Aによる規模拡大を進める

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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