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2016年07月24日15時42分

【経済】一尾仁司の「虎視眈々」:◆「まるで来週の予行演習?」◆

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

●日銀総裁発言で円安・株高にブレーキ●


何故、このタイミングで、しかも英BBCラジオなのか、と思わせるニュースが昨夕流れた。黒田日銀総裁がインタビューに応じ、ヘリコプターマネーについて「必要も可能性もない」と述べた。「我々には非常に強力な政策の枠組みがあり、必要な場合、日本で金融状況をさらに緩和する上で大きな制約は全くないと考えている」とも述べ、追加緩和を否定した訳ではないが、市場は円高に反応した。インタビューは6月17日に行ったものと伝えられ、前回の日銀金融政策決定会合直後のもので、追加緩和見送りを説明したものと思われる。1カ月以上経過し、しかも来週の金融政策決定会合前のタイミングで流した意図は不明だが、日銀広報は「いつもの発言」と一蹴、ドル円は106円を挟んだ攻防に移行した。

4月末に直前「大誤報」を行ったブルームバーグは、このところ金融政策に懐疑的な見方を流している。21日も「日銀内に広がる持続可能性への懸念、量的・質的金融緩和?関係者」との記事を配信した。それによると。「日銀内ではここに来て、政策運営はより慎重に効果とコストを見極める局面に来ているとの見方が広がっている」。記事では触れていないが、5月末G7サミット以降、金融政策より財政出動に関心が移っており、「金融政策は限界」とのイメージとダブル格好となっている。

もっとも、21日はECB理事会があり、政策据え置きが発表された。ユーロドルは一時6/27日以来(英国離脱騒動直後)の1.0980ドルを付け(終値はほぼ変わらずの1.1026ドル)、ドル安円高圧力が掛かり易い局面だった。ECBは追加緩和の姿勢を維持しており、ユーロの先安観は持続している。一方、米国では週間新規失業保険申請件数が4月以来の低水準(25.3万件、市場予想は26.5万件)、6月中古住宅販売は前年比3%増の557万戸(07年2月以来の高水準)、販売価格中央値は前年比4.8%上昇、24万7700ドルの過去最高となった。ジワリ、利上げ観測が戻りつつあり、FRBが年内1回利上げする確率は約50%(数週間前は20%以下に低下していた)。米10年債利回りは一時1.628%を付けていたが、その後のリスク回避で1.561%に低下した。このところの円安要因なった米金利上昇にブレーキが掛かった格好。スンナリとは1.7%台に戻せない印象だ。

昨日はインテルが重荷となったが、米企業の決算は予想より順調だ。今のところ、8割程度で利益、6割弱で売上高が市場予想を上回るペース。これが株価最高値更新の原動力になっているが、背景は行き過ぎたドル高警戒の修正と思われ、その分、急ピッチのドル高再燃への警戒ムードが金融当局にあると考えられる。振り返れば、2月、4月、6月と円高圧力が掛かり、市場は波乱となってきたが、当面はボックス圏内の動き(100-105円ゾーンに戻るか、105円±2.5円か、105-110円ゾーンかの3つのシナリオの鬩ぎ合い)が想定され、それに合わせ、日本企業にも「行き過ぎた円高懸念」の修正が入るかどうかが焦点となろう。



以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/7/22号)

《TM》

 提供:フィスコ

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