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【経済】NYの視点:【7/19IMM】円買い持ち減、来週の注目:G20、FOMC、米Q2GDP、日銀金融政策


シカゴIMMの短期投機家・投資家による円の買い持ち高は前週から減少し、ほぼ1ヶ月半ぶりの低水準となった。

クーデター事件を受けてトルコが格下げされるなど、地政学的リスクを睨む展開。今週末に中国・成都で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議や、来週予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)のほか、日本銀行の金融政策決定会合に注目が集まる。また、今後の米国の金融政策を探る上で4?6月期の国内総生産(GDP)速報値が重要指標となる。

今週末に中国で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明草案によると、G20には英国の欧州連合(EU)離脱選択が経済にもたらす影響に対応できると明記する意向だという。ブルームバーグ・ニュースが報じた声明草案では、1)「G20加盟国は英国民投票の結果に伴い予想される経済・金融への影響に積極的に対応できる体制を十分整えている」と記述。各国財務相や中央銀行総裁がG20で、草案を見直し、会合終了後に声明を発表する。

声明草案ではそのほか、2)英EU離脱選択は「世界経済の不透明感を高める」、3)「世界の経済環境は厳しく下振れリスクも続いており、商品相場の変動や多くの国で見られる低インフレ、地政学的衝突、テロや難民流入問題などがその背景にある」、4)「英国がEUと綿密な関係を維持することを望んでいる」ことなどが言及されている模様。

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く見通し。ただ、声明では、6月会合時に比べて経済がさらに改善し一段と健全であるとの見解を示し、経済が見通し通りに展開した場合に数か月内に利上げに踏み切る基盤をつくる可能性がある。6月の雇用統計が予想を上回る強い結果となったこと、その他の経済指標も製造業を含め4?6月期の経済の成長が1?3月期を上回り順調な成長を継続している証拠を示している。英国の欧州連合(EU)離脱決定による金融市場の影響も限定的となった。このため連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは年内の利上げに再び自信を取り戻しつつある。一部のメンバーは成長が見通し通りに展開した場合、最大で2回の利上げに踏み切る可能性にも言及。4?6月期国内総生産(GDP)速報値がエコノミスト予想通り成長率が+2.6%へ拡大した場合、利上げ観測を受けたドル買いに拍車がかかる可能性がある。

一方、日本銀行も金融政策決定会合を開催する。バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が日本を訪問、安倍首相や黒田日本銀行総裁と会談したことをきっかけに英国の欧州連合(EU)離脱を受けた影響を事前に最低減に食い止めることも含め、日本銀行は早くて今月の会合で、政府が無利子で償還期限のない「永久国債」を発行し、中央銀行が引き受けるというヘリコプターマネー政策を導入するとの思惑も根強い。

ただ、先月のインタビューで、黒田総裁は現段階で「ヘリコプターマネーは必要性も可能性もない」とこの政策を否定。6月の記者会見でも、ヘリコプターマネーは現行の法制度の下では実施できないと述べ、日銀が財政ファイナンスに踏み込む考えはないことを示している。「現時点で日銀には量的緩和、質的緩和、マイナス金利といった3つの選択肢がある」とも述べ、これらを必要に応じて拡大することが可能であり、一段の金融緩和を実施することに対する重大な制限はないと語った。万が一、追加緩和に動いた場合は円売りにつながる。

欧州中央銀行(ECB)は51行を対象としたストレステストの結果を発表する。イタリアの銀行の不良債権問題が懸念材料だが、ドラギECB総裁は「公的資金による不良債権処理支援、例外的状況では可能」としている。


■来週の主なイベント

●G20
23日?24日:G20財務相・中央銀行総裁会議

●米国
26?27日:連邦公開市場委員会(FOMC):予想FF金利誘導目標0.25%(前回0.25%)
29日:ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演、カプラン米ダラス連銀総裁講演、4?6月期国内総生産(GDP)速報値:予想前期比年率+2.6%、1?3月期+1.1%、4?6月期個人消費:予想+4.2%(1?3月期+1.5%)、4?6月期コアPCE:前期比+1.7%(1?3月期+2.0%)

●日本
29日:日本銀行:金融政策決定会合、黒田日本銀行総裁会見

●欧州
29日:欧州中央銀行(ECB)、51行のストレステスト

●地政学的リスク
ウクライナ紛争
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ


【IMM】

*円
ネット・円買い持ち:+39,353(7/19)←円買い持ち:+47,545(7/12)(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)

*ユーロ
ネット・ユーロ売り持ち:-99,891(7/19)←ユーロ売り持ち:-87,660(7/12)(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)

*ポンド
ネット・ポンド売り持ち:-74,386(7/19)←ポンド売り持ち:-60,067(7/12)(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)

*スイスフラン
ネット・スイスフラン買い持ち:+ 4,687(7/19)←スイスフラン売り持ち:+6,718(7/12)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)

*加ドル
ネット・加ドル買い持ち:+22,068(7/19)←加ドル買い持ち:+17,175(7/12)(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)

*豪ドル
ネット・豪ドル買い持ち: +33431(7/19)←豪ドル買い持ち:+16216(7/12)

《NO》

 提供:フィスコ

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