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【通貨】為替週間見通し:ドルは底堅い展開か、株価にらみの状況が続く見込み

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドルは大幅反発、日本のヘリ・マネ政策への思惑で円売り加速

先週のドル・円は大幅反発。一時6月24日以来となる106円台前半まで買われた。政府・日銀はお金をばらまく「ヘリコプターマネー政策(ヘリ・マネ政策)」を検討しているとの思惑が広がったことや、米国の年内利上げの可能性が再浮上したことがドル相場を押し上げた。

講演目的で来日していたバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長は12日、安倍首相らと面会し、さまざまな金融緩和の手段は存在するとの見方を示した。また、14日には、バーナンキ前FRB議長が今年4月、前内閣官房参与の本田悦朗氏と永久国債発行について議論していたと報じられた。この報道を受けてドルは節目の105円を突破し、15日の東京市場で一時106円32銭まで買われた。

ただ、15日のNY市場ではトルコで起きたクー・デターを嫌ってリスク回避的なドル売りが優勢となり、ドル・円は104円台後半まで下落し、104円89銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:100円31銭-106円32銭。

■ドルは底堅い展開か、株価にらみの状況が続く見込み

今週のドル・円は主要国の株価にらみの展開となりそうだが、株高基調は維持されるとの見方が多く、ドル・円は底堅い動きが続くとみられる。菅官房長官は12日の会見で「バーナンキ氏から財政政策で名目GDPを上げるとともに、それと協調して金融政策はやるべきで、日銀には金融を緩和するための手段はまだいろいろ存在するという指摘があった」と語った。

市場関係者の間では、金融緩和の推進と積極財政の実施は「ヘリ・マネ政策」に類似するとの見方が多い。株式市場は株高につながる要因になると期待しており、リスク選好的な円売りは継続する可能性がある。日本株だけではなく、欧米やアジア諸国の株高が続けば6月24日の高値106円84銭を超えて108円レベルを目指す展開もあり得る。

ただ、ドル・円は短期間で大幅に上昇したことから、一部で過熱感が指摘されている。トルコで起きたクー・デターの今後の展開や金融市場に及ぼす影響などを見極める必要があることから、現政権の存続が確認されるまではリスク選好的な円売り・米ドル買いはやや抑制される可能性がある。

また、今週から本格化する米企業決算発表(4-6月期)で市場予想を下回るケースが相次いだ場合や、ドル高に批判的なトランプ氏が共和党の大統領候補に正式指名された場合、ポジション調整的なドル売りが増える可能性がある。

予想レンジ:103円00銭-107円00銭

【米共和党大会】(18-21日開催予定)
米共和党は全国大会を開催し、ドナルド・トランプ氏を同党の大統領候補として正式に指名する見込み。トランプ氏はドル高には批判的であるとみられており、正式指名は円高要因になるとの見方が少なくない。

【米企業4-6月期決算】
バンク・オブ・アメリカ(18日)、ゴールドマン(19日)など、米大手企業の4-6月期決算が発表される。決算数字が市場予想を下回った場合はドル売り材料になるとの見方がある。

【20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)】(23-24日開催予定)
20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)が中国・成都で開催される。従来通り通貨安競争の阻止などをテーマに議論される見通し。為替動向に関する日米間の認識などが注目される。

《FA》

 提供:フィスコ

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