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【特集】フォーバル Research Memo(7):自社株買い等の影響によりROEは19.5%へ上昇

フォーバル <日足> 「株探」多機能チャートより

■決算動向

(2)財務状態

フォーバル<8275>の2016年3月末時点における総資産は前期末比1,182百万円増加し20,534百万円となった。内訳を見ると、流動資産が同1,103百万円増加し15,765百万円となった。これは、売上債権が323百万円減少したものの、現金及び預金が1,083百万円増加したことや、商品及び製品が195百万円増加したことなどによる。また、固定資産も同78百万円増加し4,768百万円となった。有形固定資産が35百万円減少したのに対し、無形固定資産が42百万円、投資その他の資産が72百万円増加したためだ。

負債は同1,220百万円増の13,040百万円へ増加した。流動負債は、買入債務が97百万円減少したものの、予想以上のISP受注によるインセンテイブの支払いのために短期借入金が483百万円増加したことや未払法人税等が585百万円増加したことなどにより、前期末に比べ1,059百万円増加し10,799百万円となった。また、固定負債も同160百万円増の2,241百万円へ増加した。これは、長期借入金の減少24百万円があったものの、数理計算上の差異による負債の認識額128百万円を含めて退職給付にかかる負債が211百万円増加したことが主要因。

対照的に、純資産は7,493百万円となり、前期末に比べ38百万円減少した。これは当期純利益が1,351百万円あったのに対して自己株式の取得、配当の支払い、子会社株式の追加取得等により株主資本の増加が237百万円にとどまったことに加えて、非支配株主持分が156百万円増加したものの、その他有価証券評価差額金の減少等によりその他の包括利益累計額合計が434百万円減少したためだ。

キャッシュ・フローの状況について見ると、2016年3月期末の現金及び現金同等物は5,680百万円となり、前期末に比べ1,085百万円の増加となった。

営業キャッシュ・フローは1,713百万円の収入となった。これは主に、投資有価証券売却益が244百万円、未収入金の増加額が246百万円、前払費用の増加額が623百万円あったことに対して、税金等調整前当期純利益が2,544百万円、減価償却費が270百万円あったことによる。投資キャッシュ・フローは399百万円の支出となった。投資有価証券の売却による収入が322百万円あったのに対し、有形固定資産の取得による支出が153百万円、無形固定資産の取得による支出が275百万円、投資有価証券の取得による支出が215百万円あったことによる。また、財務キャッシュ・フローは224百万円の支出となった。短期借入金の純増額が524百万円、金銭の信託の減少額が573百万円あったのに対し、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が236百万円、自己株式の取得による支出が574百万円、配当金の支払額が355百万円あったことが要因。

経営指標について見ると、健全性を表す自己資本比率は、短期借入金の増加と、自己株式の取得、有価証券評価差額、フォーバル・リアルストレート株式追加取得による自己資本の減少により、33.2%へ3.0ポイント低下したが、大きな問題ではない。一方、収益性を表す指標は、業績拡大を受けていずれも改善。ROEが18.6%から19.5%へ上昇したほか、営業利益率も4.3%から4.7%へ改善した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

《HN》

 提供:フィスコ

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